コマンドライン実行

SimSolidのコマンドライン実行は、オペレーティングシステムのシェルを利用して、プロセスを開始し、設定パラメータを渡して、ワークフローを自動化します。これにより、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を介さずに、再現性の確保や、より大規模な計算パイプラインまたはバッチ処理システムへの統合が可能になります。

1.サイレントインストール

サイレントインストールは、インストーラーパッケージの機能を利用して、ユーザーの操作を必要とせずに設定引数を処理します。このモードを開始するには、-iサイレントフラグを使用するのが一般的な方法です。

インストールに使用するコマンドライン構文は次のとおりです。
AltairSimSolid2026.exe -i silent -DUSER_INSTALL_DIR=<installation directory> 
-DACCEPT_EULA=YES
例:
AltairSimSolid2026.exe -i silent -DUSER_INSTALL_DIR="C:\Program Files\Altair\2026_testing" -DACCEPT_EULA=YES
AltairSimSolid2026.exe
これは、自己解凍および実行型のインストーラーバイナリです。一般に、バージョン番号が付けられており(2026.exe)、特定のビルドまたはリリースを示しています。大規模な展開でのバージョン管理には不可欠です。
-i silent
この引数は、“サイレント”または“無人”モードで実行するよう、インストーラーに指示します。このモードでは、ダイアログボックス、プロンプト、進捗インジケーターは表示されません(一部では最小限の進捗バーが表示されることがあります)。必要な全ての入力(インストールディレクトリ、EULAへの同意など)は、コマンドライン引数で指定する必要があります。
-DUSER_INSTALL_DIR=<installation directory>
これは、InstallAnywhereなどのテクノロジーで構築されたインストーラーや、類似したクロスプラットフォームインストーラーで一般的な、Javaスタイルのシステムプロパティ構文です。
  • -D:システムプロパティの定義を示します。
  • USER_INSTALL_DIR:これは、インストール先のパスを保持する、インストーラースクリプト内の事前定義された内部変数です。ここに値を割り当てることで、デフォルトのパスまたはユーザーが定義したパスをオーバーライドします。このパスは、絶対パスで指定し、スペースが含まれる場合は引用符で囲む必要があります。
-DACCEPT_EULA=YES
USER_INSTALL_DIRと同様に、このシステムプロパティは、使用許諾契約がプログラムにより同意されていることをインストーラーに示します。これは、サイレントインストールにおいては非常に重要な法的および運用上の要件であり、ライセンスプロンプトによるプロセスの停止を防ぎます。インストーラーが期待する文字列リテラルは、YESという値です。

技術的意味合い:

自動化
スクリプトを使用して、複数のマシンにわたって無人展開できるようにします。
一貫性
すべてのターゲットシステムで同一のインストールが保証され、設定のずれやトラブルシューティングが低減されます。
エラー処理
サイレントモードの場合、インストーラーは通常、終了コード(成功の場合は0、エラーの場合は0以外)を返します。これは呼び出し元のスクリプトでキャプチャーされ、自動検証に使用されます。多くの場合、インストールプロセスとすべての問題を記録するログファイルが生成されます。

2.呼び出し(SimSolidの起動とジオメトリのインポート)

技術的メカニズム:

これには、simsolid.exeアプリケーションの直接実行が関与します。渡される引数は、アプリケーション固有で、その内部のコマンドラインパーサーに関連します。

simsolid.exe
これはSimSolidアプリケーション自体のメインの実行ファイルであり、インストーラーではありません。インストーラーは、インストールされたプログラムディレクトリ内にあります。
-fまたは--file <file_path>
これは、入力ファイルを指定するための従来のコマンドライン引数です。
  • 短いフォーム(-f)と長いフォーム(--file)が一般的な方法で、スクリプトの読みやすさを向上させています。
  • 複数の使用:パーサーは、複数の-f引数を処理できるように設計されており、単一のセッションで複数のジオメトリファイルを同時にインポートすることができます。これは、最初の読み込みフェーズで、内部キューまたはファイルのリストが順次または並列に処理されることを意味します。
ジオメトリインポートの設定(-r、-a、-c、-m

これらのパラメータは、インポート時にファセッティングおよびジオメトリのテッセレーション処理を直接制御します。SimSolidの強みは、メッシュレス、つまり“堅牢なジオメトリ”アプローチにあり、これらのパラメータは、そのCADデータをどのように解釈してSimSolid解析で表現するのかを定義します。

-rまたは--resolution <standard | enhanced | fine | custom>
これは、テッセレーションプロセスの“忠実度”を制御します。解像度が高くなると、ジオメトリの表現に使用されるファセットが多くなり、精度が高くなる可能性がありますが、内部データ構造は大きくなります。“カスタム”は、基礎となる角度と弦の偏差の値が直接使用されることを意味します。
-aまたは--angle <angular_deviation_in_degrees>
これは、隣接するファセットと真の曲面との間の、最大許容角度偏差を定義します。角度が小さいほど、曲面の近似精度が高くなります。
-cまたは--chord <chordal_deviation_in_mm>
これは、ファセットエッジと真の曲面との最大許容距離(弦の偏差)を定義します。この場合も弦の偏差が小さいほど、近似精度が高くなります(特に半径が大きい場合)。
-mまたは--method <ct | parasolid>
CADファイルのインポートと処理に使用される、基礎となるジオメトリカーネルまたはメソッドを指定します。ctは、従来のリーダーを指します。
例:
  • simsolid.exe -f C:\Models\example1.x_t
  • simsolid.exe --file C:\Models\example1.x_t
  • simsolid.exe -f C:\Models\example2.prt -r enhanced
  • simsolid.exe --file C:\Models\example2.prt --resolution enhanced
  • simsolid.exe -f C:\Models\example3.asm.1 -r custom -a 5 -c 0.1 -m ct
  • simsolid.exe --file C:\Models\example.asm.1 --resolution custom --angle 5 --chord 0.1 --method ct

技術的意味合い:

バッチジオメトリ処理
これにより、人の介入なしでCADモデルの自動読み込みが可能となり、モデル数の多いシナリオや、より大きなPLM(製品ライフサイクル管理)システムへの組み込みに最適です。
再現性
これにより、すべての自動実行でジオメトリの一貫したインポート設定が保証されるため、検証や品質保証にとって非常に重要となります。
パフォーマンスチューニング
解像度、角度、および弦の偏差のパラメータにより、ユーザーは精度と計算オーバーヘッドとのバランスを調整することができます。解像度が高くなると、表現がより詳細になり、小さなフィーチャーや湾曲したジオメトリでの精度が向上しますが、メモリ使用量や初期処理時間が増大します。

3.バッチモード(JavaScript実行)

これは、組み込みのスクリプトエンジンを利用して事前定義された一連の操作を実行する強力な機能です。これにより、SimSolidは、スクリプトで定義されたロジックで駆動されるソルバーとなります。

バッチモードで各種操作を実行するコマンドライン構文は次のとおりです。
Start /wait <Path to SimSolid installation folder>\simsolid.exe -s <JavaScript file path> -l <log file>
Start /wait
これはWindowsのコマンドです。
  • Start:新しいプロセスを開始します。
  • /wait:呼び出し元のコマンドプロンプトに、開始されたsimsolid.exeプロセスが完了するまで待機してから続行するように指示します。
-s <JavaScript file path>
これは、SimSolid自動化スクリプトを含む、JavaScriptファイル(.js)へのパスを指定します。このスクリプトは、JavaScript環境に公開されているSimSolid内部API(アプリケーションプログラミングインターフェース)とやり取りします。
-l <log file>
これは、SimSolidに、実行ログ(警告、エラー、ソルバーステータスを含む)を指定したファイルに出力するよう指示します。これは、デバッグ、長時間実行される解析の進捗状況の監視、結果の監査に不可欠です。

例:

start /wait C:\Program Files\Altair\SimSolid\2026\simsolid.exe -s C:\Models\Batch\modal.js -l C:\Models\Batch\log.txt
JavaScriptによる技術的機能
現在、標準結合を使用したモーダルと複数荷重ケースの解析がサポートされています。複数荷重ケース解析は、力、リモート荷重、スポット変位のインポートをサポートします。
以下に、バッチモードで実行できる操作を示します(コマンドラインについては、SimSolid JavaScriptリファレンスコマンドをご参照ください)。
  • プロジェクトの読み込みまたは新しいプロジェクトの作成
  • SimSolid材料データベースからの材料特性の定義
  • ソリューション設定の微調整
  • 複数荷重ケース解析での慣性リリーフ境界条件の適用
  • 荷重の定義(力、リモート荷重、スポット変位)
  • 結合の設定(標準結合)
  • 現在の設計スタディにおけるパートの追加 / 削除
  • 解析タイプの設定(モーダル解析、複数荷重ケース解析)
  • ソルバーの起動
  • データム点のインポートと、それらのデータム点での結果のエクスポート(CSV、UNV)

技術的意味合い:

高度な自動化
これにより、簡単なジオメトリのインポートだけではなく、解析全体の設定(プリ処理、解析、ポスト処理の各ステップ)などの複雑なワークフローが可能となります。
カスタマイズ
これにより、ユーザーは、JavaScript内でカスタムロジック、ループ、条件文を定義し、さまざまなモデル構成や解析要件に対処できます。
HPC / クラウドとの統合
バッチモードを/waitと組み合わせることで、SimSolidは、ジョブがキューに入れられ、人による監視なしで実行されるハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)クラスターやクラウド環境で利用可能となります。ログファイルはリモート監視には必須です。
回帰テスト
スクリプトを使用して、一連の解析を設定および実行し、ソフトウェアの更新またはモデルの変更が結果に悪影響を及ぼさないことを確認できます。

4.JavaScriptファイルのパラメータ化

これにより、バッチモードが拡張され、実行時にJavaScriptスクリプトを動的に変更できるようになります。SimSolidのJavaScriptファイル向けの内部ローダーは、スクリプトが実行される前に、プレースホルダー(%#%)の文字列置換を実行する可能性があります。

%#%
この構文(%1%, %2%など)は、JavaScriptファイル内でプレースホルダーまたは変数として機能します。SimSolidがスクリプトを読み込むと、%1%が最初の-p引数の値に置換され、%2%が2番目の引数値に置換されます(以下同様)。
-p <parameter #N>
-p引数は、JavaScriptファイルの対応するプレースホルダーに値を提供します。順序は重要です。
例: (ジオメトリファイル名と解析設定をパラメータ化)
start /wait C:\"Program Files"\Altair\SimSolid\2026\simsolid.exe -s C:\Models\Batch\modal.js -l C:\Models\Batch\log.txt -p pullupbar-v2 -p global

技術的意味合い:

柔軟性
コマンドラインパラメータを変更するだけで、単一のJavaScriptテンプレートをさまざまな解析シナリオで再利用できます。これにより、わずかに異なるだけのいくつものJavaScriptファイルを作成する必要がなくなります。
データ駆動型の自動化
これにより、パラメータ(材料特性、荷重の大きさ、ファイル名、出力パスなど)を外部データソースにより制御できるようになります。
実験計画法(DoE)と最適化
これは、入力パラメータの多くの置換を体系的に解析する必要のある設計スタディや最適化ループの実行に不可欠です。外部スクリプトにより、パラメータセットを生成し、セットごとにループ内でSimSolidを呼び出すことができます。

バッチモードの例:

サンプルの.jsファイルは、<install_directory>\2026\SimSolid2026\Examples\Batch modeにあります。