Adapt to Thin Solidsを有効にするとジオメトリアダプティブを使用できます。曲率が変化する曲面を持つパートが薄肉構造である場合は、Adapt to Thin Solidsの使用を強くお勧めします。このオプションにより、局所的な曲面の領域を特定し、自由度を追加することができ、曲率変化に適応させることが可能になります。これにより、解析の段階でジオメトリの変化を正確に取り込みます。
Adapt to Thin Solids
局所的な薄い湾曲した領域の自由度を上げます。
重要な領域でより正確に曲率を捕捉することにより、精度を向上させます。
波状シートの例を以下の図に示します。Adapt to Thin Solidsを有効にすると、曲面上に自由度が追加されます。Adapt to Thin Solidsを適用した場合の自由度の位置が赤い点で示されています。Adapt to Thin Solidsが有効でない場合、赤い点が少なくなります。この状態で赤い点の間にラインを描画しても、ラインによって鋭角が形成され、実際のジオメトリが正確に表現されません。これは、構造の剛性が高くなる傾向の原因となります。
薄肉構造や曲面のあるモデルを扱っているときは、応力スタディだけではなく、剛性スタディでもAdapt to Thin Solidsの使用を強くお勧めします。曲面がある機械加工パートや鋳造パートのような大型ボディを扱う場合に、この方法を適用できます。剛性に大きな違いが見られないこともありますが、忠実度が高い解法の実行や高忠実度の結果が最終的な目的であればAdapt to Thin Solidsを使用します。このオプションでは自由度が多くなるので、最終的には優れた結果が確実に得られます。図 8. 次の2つの図は、モデルの剛性に対するAdapt to Thin Solidsの効果を示しています。これは、波状シートを対象としたフリーフリーモデル解析の結果です。1番目の図ではAdapt to Thin Solidsを使用せず、2番目の図ではAdapt to Thin Solidsを使用しています。図 9. Adapt to Thin Solids 未使用 図 10. Adapt to Thin Solids使用 1番目のモデルは2番目よりもはるかに剛性が高く、高い周波数を予測します。2番目のモデルは低周波数を示し、局所的なモードを捕捉できます。定義が明確な有限要素解析(FE)問題と比較すると、Adapt to Thin Solidsを使用する場合は2番目のモデルの方法が適しています。
Adapt to featuresをオンにすることで、けん引誤差が有効になります。応力アダプティブでは、Adapt to featuresオプションを使用します。特定のパート、パートのグループ、またはアセンブリ全体を対象としてけん引を有効にすることができます。けん引のデータが必要な場合は、必ずAdapt to featuresを使用します。SimSolidでは、応力勾配が大きい領域を探し出し、自由度を追加することによってこのような領域に対し局所的にアダプティブ計算を実行します。すでに説明したように、SimSolidには特殊な関数があり、穴などの特定のフィーチャーに対し、デフォルトで局所的にアダプティブ計算を実行します。Adapt to featuresが有効になっていれば、フィレットやトーラス面などのさまざまなフィーチャーがあるアセンブリ全体でけん引誤差を探し出し、自由度を追加することによってそのような領域に対し局所的にアダプティブ計算を実行します。
応力が集中する穴やスロットなどの領域が複数ある例を以下に示します。図 13. 上側の図では、Adapt to featuresがオフになっています。SimSolidではデフォルトで局所的に穴の周囲に適応し、その穴の周囲の応力集中を予測します。四角形スロット周囲は、鋭角な角があることから、実際には特異領域となり、この周辺の応力は適切に捕捉されません。正確に定義された有限要素解析用データと比較する場合は、取得した応力をオフにすることもできます。Adapt to featuresを有効にすると応力分布が変化して、スロット周囲の応力集中と全体的な応力分布が良好になります。
Adapt to Featuresを使用すると、小さなフィーチャーの自由度を選択的に増やすことができます。
Adapt to Thin Solidsを使用すると、薄い湾曲したパートの自由度を選択的に上げることができます。
以下の場合はローカルグループを使用します:
特定の位置で高忠実度な応力に注目する。
パートの大きさが互いに大きく異なる。
剛性の高い材料と柔軟性の高い材料がアセンブリに混在している。
まとめると、湾曲した薄肉のシートやパートで優れたジオメトリアダプティブを実現するには必ずAdapt to thin solidsオプションを使用します。応力が重要であれば、必ずAdapt to featuresオプションを使用します。
ローカルグループの作成がベストプラクティスとなる状況がわずかにあります。高忠実度の応力データが必要で、Adapt to stressオプションでは特定の領域で目的の応力結果が得られない場合はローカルグループを設定します。大きさが異なる複数のパートがある場合は、それらを別々のグループに追加して、より小さいボリュームパートの剛性と応力を正確に捕捉します。弾性率が大幅に異なる材料を使用したパートは対象から除外します。