疲労材料データのばらつき
疲労テスト結果のばらつきを扱います。


S | Log (S) | Log (N) |
---|---|---|
2000.0 | 3.3 | 3.9 |
2000.0 | 3.3 | 3.7 |
2000.0 | 3.3 | 3.75 |
2000.0 | 3.3 | 3.79 |
2000.0 | 3.3 | 3.87 |
2000.0 | 3.3 | 3.9 |

応力振幅データと寿命データの両方に実験上のばらつきが存在します。入力としてlog(N)の散乱の標準誤差が必要です(SN曲線のSE欄)。サンプルデータの平均値はSN曲線によって log(Nsmi) として得られますが、標準誤差はSE欄に入力します。
- log(N)の正規分布の標準誤差(SE)
- 実施する解析に必要な耐久確実性
正規分布(ガウス分布)は確率密度関数であり、曲線の下を占める総面積が必ず1.0に等しくなります。
ユーザーが指定するSN曲線データは正規分布と見なされるので、多くの場合、その特性は次の確率密度関数で記述できます。
各値の意味は次のとおりです:
xs : 定義したサンプルにあるデータ値( log(Ni) )
μs : サンプルデータの平均値( log(Nsmi) )
σs : サンプルデータの標準偏差(標準誤差(SE)のみを入力しているので不明)
上記の分布はユーザーが指定した分布であり、全集団空間ではありません。真の母平均は不明なので、サンプルデータの平均値とサンプルデータのSEから真の母平均の範囲を推定したうえで、ユーザーが定義した耐久確実性を使用してサンプルデータの平均値に摂動を適用します。
標準誤差は、全集合から導いたサンプルのすべてのサンプルデータ平均値によって作成した正規分布の標準偏差です。1件のサンプル分布データについて、多くの場合、標準誤差は SE=(σs√ns) と推定されます。 σs はサンプルの標準偏差、 ns はサンプルにあるデータ値の数です。実際には、すべてのサンプルデータ平均値のこの分布の平均値が、真の母平均と同じになります。すべてのサンプルデータ平均値のこの分布に、指定した耐久確実性が適用されます。
すべてのサンプルデータ平均値の正規分布についていえば、その分布の平均値が真の母平均 μ と同じになります。推定しようとしている値は、この真の母平均の範囲です。
統計的には、次の式で真の母平均の範囲を推定できます。
これは次のようになります。
この式の左辺は控え目な値になるので、次の式を使用してSN曲線に摂動を適用します。
各値の意味は次のとおりです:
log(Nmi) : 適用する摂動の値
log(Nsmi) : 定義したサンプルデータ平均値(SN曲線)
SE : 標準誤差(SE)
Z値(計算値) | 耐久確実性(入力値) |
---|---|
0.0 | 50.0 |
-0.5 | 69.0 |
-1.0 | 84.0 |
-1.5 | 93.0 |
-2.0 | 97.7 |
-3.0 | 99.9 |
目的の耐久確実性と標準誤差の入力に応じてSN曲線が変化することがわかります。この手法を使用することで、統計的方法によって疲労材料データのばらつきを扱い、目的とする耐久確実性の値に見合うデータを予測できます。