耐久限界の影響因子

ここでは、構造の疲労強度に影響すると考えられる因子を考慮します。

表面状態(仕上げと処理)

疲労破壊は表面を中心として発生するので、表面状態は疲労強度に影響するきわめて重要な因子です。表面の仕上げと処理の因子を考慮して、疲労解析の結果を補正します。

表面仕上げの補正係数Cfinishを使用して、表面の粗さの特性を記述します。研磨、機械加工、鍛造といった質的な見地から仕上げを分類して表記された図から、この係数を読み取ります。


図 1. 鋼の表面仕上げ補正係数*
(*出典:Yung-Li Lee, Jwo.Pan, Richard B. Hathaway and Mark E. Barekey.Fatigue testing and analysis: Theory and practice, Elsevier, 2005)

表面処理によって、コンポーネントの疲労強度を改善できます。表面処理の補正では、窒化(NITRIDED)、ショットピーニング(SHOT-PEENED)、冷間圧延(COLD-ROLLED)を考慮します。表面処理係数Ctreatの値を入力することもできます。

一般的に、総補正係数CsurはCtreatとCfinishの積になります。

処理タイプがNITRIDEDの場合、総補正係数Csurは2.0*Cfinishです(Ctreat=2.0)。

処理タイプがSHOT-PEENEDまたはCOLD-ROLLEDの場合、総補正係数Csurは1.0です。この場合は表面仕上げによる効果を無視できます。

疲労耐久限界FLは、Csurによる影響を考慮してFL'=FL*Csurになります。2本の線分から成るSN曲線では、遷移点における応力にもCsurを乗算することでその影響を考慮します。

疲労強度低減因子

上記の各因子のほかにも、構造の疲労強度に影響すると考えられるさまざまな因子があります。その例として、切欠き効果、サイズ効果、荷重タイプがあります。これらすべての補正を総合した効果を考慮するために、疲労強度低減因子Kfが使用されています。疲労耐久限界FLは、Kfによる影響を考慮してFL'=FL/Kfとなります。

CsurとKfの両方が指定された場合、疲労耐久限界FLは、FL'=FL*Csur/Kfとなります。