Flux 2DとIPMモーターの連成シミュレーション
Tutorial Level: Advanced 埋込磁石型モーターのFlux 2Dモデルに三相正弦電流を供給するTwin Activateモデルを作成して、これらのモデルの連成シミュレーションを実行します。
この連成シミュレーションプロセスは、次の4つの基本的なステップで構成されています:
- Fluxモデルを作成します。このチュートリアルでは、IPMモーターのFluxモデルが用意されています。
- Twin ActivateでFluxモデルデータを読み込むために必要なFlux連成コンポーネントを生成します。
- Twin Activateモデルを作成して、Flux連成コンポーネントを読み込むためのFluxブロックを追加します。
- Twin Activateでこれらのモデルの連成シミュレーションを実行します。
このチュートリアルのファイル
IPM_motor_Multiphysics_positionF2STA.FLU、IPM_motor_Multiphysics_position.F2STA、IPM_motor_Multiphysics_positionF2STA.scm
Flux IPMモーターの概要
このFluxモデルは、電気自動車で利用できるブラシレスAC埋込磁石型モーターです。
- ヨーク、スロット、巻線で構成する固定部(固定子)
- 空隙
- 埋込磁石で構成する可動ローター
このIPMモーターは三相正弦電流によって駆動され、キネマティクスタイプのマルチフィジックスポジションで回転します。シミュレートされたモーター性能は、トルク、相電流、速度、およびローター位置の計算に適用されます。
このIPMモーターの入力は複合領域のパラメーターで定義されており、以下の各要素で構成されています。
- I_1:物理量: μr、Bs、Br
- I_2 :電気量:抵抗、電圧、電流
- I_3:力学量:位置、速度、電磁トルク



このIPMモーターの出力は、センサー、数式(トルク)、およびパラメーター(位置、速度、加速度)を通じて値を取得するスカラー入出力設定です。


このIPMモーターの回路は、電流源、コイル導体、抵抗器、およびインダクタンスで構成されています。

Fluxでの連成コンポーネントの生成
Fluxモデルを読み込んで、必要な入力、出力、およびパラメーターを設定した連成コンポーネントを生成します。
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Fluxを起動して、作業ディレクトリからIPM_motor_Multiphysics_positionF2STA.FLUプロジェクトを開きます。
モデルが読み込まれて、次の図のように表示されます。
図 2. IPMモーターの断面図 - Flux 2Dのツールバーから、 を選択します。
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ダイアログで、該当のコンポーネントに関する次の情報を入力します:
- コンポーネントの名前を入力します:IPM_motor_Multiphysics_positionF2STA
- 作業ディレクトリのパスを入力します:<name_without_spaces>
- コンポーネントに対する入力(形状入出力パラメーター)を選択します:I1, I2, I3
- 出力を選択します:PHASE_CURRENT_1、PHASE_CURRENT_2、PHASE_CURRENT_3、TORQUE、SPEED_MOTOR、およびPOS_ROTOR。
ダイアログの内容は次の図のようになります:
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OKをクリックします。
連成コンポーネントがIPM_motor_Multiphysics_position.F2STAという名前で作業ディレクトリに保存されます。
Twin Activateモデルの作成
IPMモーターのFluxモデルに三相正弦電流を供給するモデルを作成します。
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Twin Activateで、新しいモデルを作成して、IPM_motor_Multiphysics_positionF2STA.scmとして作業ディレクトリに保存します。
または、モデル<installation_directory>/tutorial_models/Flux_IPM/IPM_motor_Multiphysics_positionF2STA.scmを読み込んで、このセクションのチュートリアルをスキップします。
- Paletteブラウザで、 を選択してFluxブロックをダイアグラムにドラッグします。
- Fluxブロックをダブルクリックします。ブロックダイアログでFlux to Activate input filenameに、Fluxから生成した連成コンポーネントのパスを入力します。 <working_directory>/ IPM_motor_Multiphysics_position.F2STA.F2STA.
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OKをクリックします。
Fluxブロックに、Flux連成コンポーネントのモデルデータが入力されます。
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Fluxブロックダイアログの最後の3つの欄に、次の値を入力します:
- 数値メモリ·(MB)(Numeric memory (MB))に2721と入力します。
- 文字メモリ·(MB)·(Character memory (MB))に200と入力します。
- Flux計算実行のための最小入力変化率·(%)(Minimal·input·variation·(%)·to·run·Flux·computations)に10と入力します。
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OKをクリックします。
Fluxブロックダイアログは次の図のようになります:
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ダイアグラムで、3つのSineWaveGeneratorブロックをFluxブロックの左側に追加して、これらのブロックを次のように定義します:
ブロック Sine Wave_1 Sine Wave_1 Sine Wave_3 値(Magnitude) 200 200 200 周波数(rad/ 秒)(Frequency (rad/s)) 2 * pi * 80 2 * pi * 80 2 * pi * 80 位相(rad)(Phase (rad)) 45*pi/180 -2 * pi / 3+45*pi/180 -4 * pi / 3+45*pi/180 -
ダイアグラムで、4つのScopeブロックをFluxブロックの右側に追加して、これらのブロックを次のように定義します:
ブロック Scope 1 Scope 2 Scope 3 Scope 4 ブロック名 Currents Rotor position
Rotor speed
トルク 位置 入力数(Number of inputs) 3 2 1 1 -
これらのブロックを次の図のように組み立てて接続してから、モデルを保存します。
図 3. 入力と出力を使用して組み立てたFluxブロック Twin Activateモデルが完成し、IPMモーターのFluxモデルに三相電流を供給するように構成されています。
Twin ActivateとFluxモデルの連成シミュレーション
連成シミュレーション時に、Twin ActivateモデルからIPMモーターのFluxモデルに三相正弦電流が供給されます。シミュレーション結果には、IPMモーターの性能が示されます(一定速度での損失とトルクなど)。
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リボンで設定(Setup)を選択します。
- 表示されたダイアログでシミュレーション時間(Simulation Time)タブを選択します。
- 最終時間(Final Time)に.0125と入力します。残りの欄はデフォルトのままにします。
- ソルバー(Solvers)タブを選択します。ソルバーとしてForward Eulerを選択し、OKをクリックします。残りの欄はデフォルトのままにします。
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リボンでRunを選択します。
シミュレーション結果には、モーターに供給される電流とモーターの性能が示されます。
図 4. 相電流 (A)、ローターの位置 (deg)、 モーター速度 (deg/s)、 トルク (Nm) 、および位置 (deg)
Fluxの結果処理では、等密度分布、相電流、ローターの位置、モーター速度、トルク、および位置が示されます。
図 5. Fluxの等密度分布 図 6. 相電流 (A) 図 7. ローター位置(deg) 図 8. モーター速度(deg/s) 図 9. トルク