接続剛性

接続剛性を使用すれば、グラウンドした締結、グラウンドしたジョイント、および円筒サポートの軸剛性とせん断剛性で優れた近似が得られます。

一般的に、締結の柔軟性とジョイントの柔軟性は、荷重が構造にどのように印加されるか、荷重が構造の中をどのように伝達されるかに大きく影響します。

締結の剛性を評価するには多くの方法があります。Inspireは、Huth-Schwarmann手法を実装していますが、別途計算した剛性を指定することもできます。

理論上の無限に剛となる結合は以下の図のようになり、荷重は、中心のリベットに0%、両端の各リベットにおいて50%ずつの値が与えられます。


結合が無限に柔となる場合、荷重はリベット間で等しく変換されます。


実際の締結においては、実際の荷重はこれら極限値の間を取ります。たとえば、中心のリベットに30%、両端のリベットにそれぞれ35%の荷重が伝達されます。


航空機業界でよく見られるようなプレートへの接続やプレート間の接続では、Huth-Schwarmannメソッドを使用して締結剛性を近似するのが一般的です。この剛性は次の式を用いて計算します。


一面せん断ではn = 1、二面せん断ではn = 2とします。aとbは、次の表のようにジョイントのタイプによって異なります。
タイプ a b
ボルト締め金属 2/3 3.0
リベット締め金属 2/5 2.2
ボルト締めグラファイト/エポキシ 2/3 4.2
次のパラメータも適用されます。
設定:
d = 穴の直径
t = 板厚
材料:
E = ヤング率
ν = ポアソン比
インデックス:
1 = プレート1(二面せん断の中央リベット)
2 = プレート2(二面せん断の外側リベット)
f = 締結

Huth-Schwarmann剛性を使用する代わりに、ユーザー定義の剛性値も適用もできます。プレートによる近似を使用してパートを定義できない場合は、ユーザー定義の剛性値を適用することが普通です。一例としては、トランスミッションハウジングに取り付けた鋳造アルミニウム自動車用マウントが挙げられます。システム全体ではなくマウントのみをモデル化するのであれば、接続剛性を近似して使用することで結果を改善することができます。

接続剛性プロパティ

以下に、接続剛性プロパティの一覧と、その適用先のオブジェクトタイプ(括弧内に示す)を示します。

F3を押してプロパティエディターを開きます。

タイプ(グラウンドに固定された締結、グラウンド固定されたジョイント、円筒サポート)
グラウンドに固定された締結、グラウンドに固定されたジョイント、または円筒サポートに使用する接続剛性のタイプを選択します。デフォルトは変形しないです。または、Huth-Schwarmannまたはユーザー定義も選択できます。
  • デフォルト:軸剛性とせん断剛性は両方とも変形しないに設定されます。
  • Huth-Schwarmann:軸剛性は剛体に設定されます。せん断剛性は、目的のパートと板厚と材料が同じパート(一面せん断ジョイント)にボルトをグラウンドしていることを前提として、材料の弾性係数と穴のサイズを使用して計算されます。
  • ユーザー定義:軸剛性とせん断剛性は両方ともユーザーが手動で入力できます。
軸剛性(グラウンドした締結、グラウンドしたジョイント、円筒サポート)
軸方向のスプリング剛性。
せん断剛性(グラウンドした締結、グラウンドしたジョイント、円筒サポート)
せん断方向のスプリング剛性。