表形式破壊モデル /FAIL/TAB1
Radiossでは、/FAIL/TAB1が延性材料用で最も洗練されたな破壊モデルです。破壊ひずみは、応力軸性、ひずみ速度、Lode角、要素サイズ、温度および不安定性ひずみの関数として定義できます。
損傷は、ユーザー定義の関数に基づいて累積されます。この破壊モデルの機能は、最も基本的な入力から始まり、最も複雑なオプション群まで説明されます。
塑性破壊ひずみ

/TABLE/1/4711
failure plastic-strain vs triaxiality
#dimension
1
# Triaxiality Failure_Strain
-0.7000 0.3386
-0.6000 0.3068
-0.5000 0.2794
-0.4000 0.2558
-0.3333 0.2419
-0.3000 0.2355
-0.2000 0.2180
-0.1000 0.2029
0.0000 0.1900
0.1000 0.1789
0.2000 0.1693
0.3000 0.1610
0.3333 0.1585
0.4000 0.1539
0.5000 0.1478
0.6000 0.1425
0.7000 0.1380
ひずみ速度依存
/FAIL/TAB1は、材料破壊にひずみ速度の影響を含めることも可能です。この場合、1つ目の次元は破壊曲線の関数ID、2つ目の次元は破壊曲線が適用されるひずみ速度であるよう/TABLEを定義する必要があります。
/TABLE/1/4711
failure plastic-strain vs triaxiality and strain rate
#dimension
2
# FCT_ID strain_rate
3000 1E-4
3001 0.1
3002 1.0
/FUNCT/3000
failure plastic-strain vs triaxiality
# Triaxiality Failure_Strain
-0.7000 0.3386
-0.6000 0.3068
-0.5000 0.2794
-0.4000 0.2558
-0.3333 0.2419
-0.3000 0.2355
-0.2000 0.2180
-0.1000 0.2029
0.0000 0.1900
0.1000 0.1789
0.2000 0.1693
0.3000 0.1610
0.3333 0.1585
0.4000 0.1539
0.5000 0.1478
0.6000 0.1425
0.7000 0.1380
/FUNCT/3001
failure plastic-strain vs triaxiality
# Triaxiality Failure_Strain
-0.7 0.27088
-0.6 0.24544
-0.5 0.22352
-0.4 0.20464
-0.3333 0.19352
-0.3 0.1884
-0.2 0.1744
-0.1 0.16232
0 0.152
0.1 0.14312
0.2 0.13544
0.3 0.1288
0.3333 0.1268
0.4 0.12312
0.5 0.11824
0.6 0.114
0.7 0.1104
ソリッド要素のLode角
ソリッド要素の場合、破壊ひずみもまた、Lode角を用いて定義された3次元応力ひずみに依存します。
これは、破壊ひずみをLode角パラメータの関数としてtable_ID11によって参照される/TABLEエンティティ内に追加することで含めることが可能です。シェル要素の場合は、破壊ひずみを応力軸性の関数として定義することだけが必要です。しかしながら、ソリッド要素の場合は、破壊ひずみを応力軸性とLode角の関数として含めると、より正確になります。
Radiossでは、Lode角は、正規化され無次元のLode角パラメータ を使って入力され、ここで定義されます。
あるポイントPにおける応力状態は、主応力( ) で表されますが、応力不変量( )を使って表すこともできます。応力不変量を用いる利点は、応力不変量が一定で座標系の向きに依存しない点にあります。図 2では、ポイントP の応力状態を応力不変量を使って正しく表すために、その大きさを次のように表します:
- 平均応力
- 第1応力不変量

の大きさは:
ここで、 偏差応力 の第2不変量で、 。
ポイントPを特定するには、円形版内の角度が計算される必要があります。この角度が、Lode角 と呼ばれます:
ここで、 で、 は次のように計算される偏差応力の第3不変量:

Lode角パラメータ | Lode角 | 応力状態 |
---|---|---|
1 | 0 | 単軸引張+静水圧(3軸引張または軸対称引張) |
0 | 30 | 純せん断 + 静水圧 (平面ひずみ) |
-1 | 60 | 単軸圧縮 + 静水圧 (軸対称圧縮) |


例 /TABLE,dimension=3
/TABLE/1/4711
failure plastic-strain vs triaxiality and strain rate
#dimension
3
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
# FCT_ID strain_rate Lode_angle
3000 1E-4 -1
3001 0.1 0
3002 1.0 1
....

破壊ひずみのスケーリング
温度と要素寸法に基づく材料破壊は、以下を用いて要素寸法および / または温度に応じて破壊ひずみをスケーリングする関数を含めることによって、/FAIL/TAB1で考慮されます:
- 一般的なスケールファクター
- 要素サイズに基づいたスケールファクター
- 温度に基づいたスケールファクター
要素長の依存性

メッシュ寸法に基づく結果のバリエーションを考慮し、要素寸法のスケールファクターは、メッシュ要素寸法に基づいて破壊ひずみをスケーリングするために定義され得ます。式 6で定義されるスケールファクターは:
- 要素サイズ関数スケールファクター
- 正規化された要素寸法(fct_IDelで定義)の関数としての破壊ひずみスケールファクターで、 は要素寸法の正規化に用いられる参照要素寸法

温度の依存性
温度が材料破壊に対しどのように影響するか考慮するために、式 6で定義された破壊ひずみ値を、温度スケールファクター関数を用いてスケーリングすることが可能です:
- 温度関数スケールファクター
- fct_IDTを介して定義された温度の関数としての破壊ひずみスケールファクター
温度に基づく破壊ひずみのスケーリングは、 /HEAT/MATが定義されている材料、または/MAT/LAW2 (PLAS_JOHNS)のように熱塑性が含まれる材料に機能します。

要素破壊処理
/FAIL/TAB1では、累積損傷モデルが使用されます。損傷は、Engineオプション/ANIM/SHELL/DAMAまたは/ANIM/BRICK/DAMAを使用して、コンタープロット用に出力することができます。
累積損傷はまず、損傷の増分を計算することによって計算されます:
- 積分点の塑性ひずみの変化
- 現在の応力軸性における塑性破壊ひずみ
- および
- 損傷のパラメータ
損傷累積は:

式 10で損傷累積パラメータ の影響を理解することも興味深いことです。

材料の不安定性(拡散ネッキング)

/FAIL/TAB1では、オプションtable_ID2またはInst_startとFad_expによって材料の不安定性(拡散ネッキング)を考慮に入れることが可能です。
材料は、不安定性ひずみに達すると、拡散ネッキングのせいで弱化し始めます。材料内の減少した応力は:
ここで、
は、その時点での応力の軸性に基づいた拡散ネッキングひずみです。
不安定性が始まるひずみは、table_ID2を用いた曲線(図 13内の青い曲線)での入力、またはオプションInst_startを用いた制約ひずみとしての入力のいずれかです。
- 材料の不安定性が含まれない場合、損傷は赤色の破壊曲線を使って計算されます; 図 13
- 材料の不安定性が含まれ、曲線入力を用いてモデル化されている(table_ID2)場合:
- Inst_startのみが曲線入力なしでtable_ID2で使用されている場合、拡散ネッキング塑性ひずみはすべての応力軸性について一定値Inst_startとなります。
図 14. 拡散ネッキングを描写する一定Inst_start
現時点では、/FAIL/TAB1での拡散ネッキング(材料の不安定性)は、28より大きい数の材料則とのみ使用できます。