複合材特性
複合材は、ソリッドまたはシェル要素でモデル化が可能です。Radiossでは、要素タイプに応じ、以下のプロパティを用いて複合材をモデル化することが可能です。
シェル要素
- /PROP/TYPE10 (SH_COMP)、/PROP/TYPE11 (SH_SANDW)を伴う層ベースのモデリング
- /PROP/TYPE17 (STACK)、/PROP/TYPE51、/PROP/PCOMPP+/STACK、/PROP/TYPE19 (PLY)、/PLYを伴うプライベースのモデリング
図 1.



- 各層(プライ)の層(プライ)番号と積分点
- 層(プライ)内の異方性
- 層(プライ)の厚さと位置
- 層(プライ)に用いられる複合材料
表 1. 層ベースのプロパティ /PROP/TYPE10 (SH_COMP) /PROP/TYPE11 (SH_SANDW) 層番号
またはPply_IDi
プライ番号
=0~100 =1~100 各層/プライの積分点 層毎に1 層毎に1 Iint 積分定式化
異方性方向
√ √ + skew 異方性方向
√ プライ方向の変化
異方性軸間の角度
層 / プライ厚
√ Ipos + 層 / プライ位置
√ Ipos=2、3、4 層 / プライオフセット
mat_IDi 各層 / プライの材料
/PARTで定義された使用材料 √ すべての相に同じ材料を用いる必要あり
一般的に使用される複合材料則 15、25およびユーザー材料 15、25およびユーザー材料 XFEM適合性(亀裂伝播) √ /FAIL/JOHNSON、/FAIL/TAB1および/FAIL/TBUTCHERで
Plyxfem 層 / プライ間の剥離
Minterply 層 / プライ間の材料
表 2. プライベースのプロパティ /PROP/TYPE17 + /PROP/TYPE19 /PROP/TYPE51 + /PROP/TYPE19 /PROP/PCOMPP+/STACK+/PLY 層番号
またはPply_IDi
プライ番号
Pply_IDi=1~200 Pply_IDi=1~200 Pply_IDii1~n 各層/プライの積分点 プライ毎に1 Npt_ply=1 in /PROP/TYPE19
プライ毎に1~9 Npt_ply=1~9 in /PROP/TYPE19
プライ毎に1~9 Npt_ply=1~9 in /PLY
Iint 積分定式化
√ 均一またはガウス
√ 均一またはガウス
異方性方向
√ √ √ + skew 異方性方向
√ √ √ プライ方向の変化
√ /PROP/TYPE19で定義
√ /PROP/TYPE19で定義
√ /PLYで定義
異方性軸間の角度
√ (/PROP/TYPE19の)
√ (/PROP/TYPE19の)
√ /PLYの
層 / プライ厚
√ /PROP/TYPE19で異なる
√ /PROP/TYPE19で異なる
√ /PLYで異なる
Ipos + 層 / プライ位置
√ √ √ Ipos=2、3、4 層 / プライオフセット
√ √ √ mat_IDi 各層 / プライの材料
√ すべてのプライに同じ材料を用いる必要あり
√ 各プライに異なる材料タイプが可能
√ 各プライに異なる材料タイプが可能
一般的に使用される複合材料則 25、27、36、60、72、93およびユーザー材料 25、≥28およびユーザー材料 25およびユーザー材料 XFEM適合性(亀裂伝播) √ (/FAIL/JOHNSONおよび/FAIL/TBUTCHER)
Plyxfem 層 / プライ間の剥離
√ Minterply 層 / プライ間の材料
√ LAW1+/FAIL/LAD_DAMのみ
各層(プライ)の層(プライ)番号N(Nply_IDi)と積分点
/PROP/TYPE10、/TYPE11を使用した層ベースのモデリングについて。Nは、シェルの板厚方向の層の数です。これらのプロパティに関し、各層に1つの積分点(IP)があります。
/PROP/TYPE17、/TYPE51および/PCOMPPを使用したプライベースのモデリングについて。Pply_IDi は、シェルの板厚方向のプライの数です。プライは、各プロパティについてn個の層まで組み合わせることが可能です。
TYPE17には積分点は1個のみが可能ですが、TYPE51と/STACKFについては9個までの積分点が可能です。プロパティTYPE19または/PLYでオプション“Npt_ply”により定義された積分点の数。


ANIM/SHELL/IDPLY/Keyword4/I/J(または/ANIM/SHELL/Keyword3/N/NIP)で、特定の各積分点でのアニメーション結果(塑性ひずみ、損傷、応力およびひずみテンソル)を出力することが可能です。
たとえば、2番目のプライ(プライ名Ply12)の3番目の積分点(図 6において赤くハイライト表示されている積分点)での塑性ひずみを出力するには、/ANIM/SHELL/IDPLY/EPSP/2/3(または/ANIM/SHELL/EPSP/2/3)を使用します。各複合材プロパティについてシェル板厚を通した積分点の出力情報は、FAQのシェル応力テンソルのアニメーション出力をご参照ください。
層(プライ)内の異方性

- 材料の異方性方向1の基準ベクトルは、フラグIP、ローカル座標系skew_ID、またはベクトル(Vx、Vy、Vz)で定義することが可能です。
IP=0, skew_ID=0 Vector (Vx, Vy, Vz) IP=0, skew_ID≠0 ローカル座標系の第1方向(ローカルX) skew_ID。 IP=20 シェル要素の節点N1とN2
IP=22 ローカル座標系の第1方向(ローカルX) skew_ID。
IP=23 ベクトル(Vx, Vy, Vz)とシェル要素の法線方向 nの積
IP=24(シートベルト要素のみ) シェルのシートベルト(/MAT/LAW119のみ)のskew_ID の第1方向からの幅、またはシェル要素の節点N1とN2の幅。 skew_ID=0:
skew_ID≠0:
IP=25 局所円筒座標系skew_ID (第2方向)で定義された方位角方向。
IP=26 要素座標系の第1軸
- 材料の第1方向は基準ベクトルから定義され、異方性の角度は次のように定義されます:
- はスタックのプライごとに定義されます。
- は要素上に定義されます。
- はプライ上に定義されます。
- はドレープテーブルで定義されます。
* PROP/TYPE17、/PROP/TYPE51、/STACKのみ。
- ドレープテーブル(/DRAPE)は、/PROP/TYPE19 および/PLYのオプションdrape_ID、特定のシェル要素またはシェル要素グループに対して定義できます。この機能により、異方性(直交異方性)の方向の角度は、
と薄化係数により変更が可能です。
- スタック/PROP/TYPE17では、1プライにつき1スライスのみ可能です。
- 複数の積分点を持つプライを使用するスタック/STACKまたは/PROP/TYPE51プロパティでは、プライごとに複数のスライスを定義できます。
- 複合材材料には、直交異方性または異方性があります。Radiossではこの機能を、積層ベースのプロパティ内で異方性軸角度
で表すことができます。
である場合は、直交異方性材料を表します。層ベースのプロパティ(TYPE10およびTYPE11)はオプション
がないため、直交異方性材料のみが定義可能です。
図 9.
- 材料の方向は、初期状態ファイル(/INISHE/ORTHO または /INISHE/ORTH_LOC)で定義された方向で上書きされます。
層(プライ)の厚さと位置
- /PROP/TYPE10については、層の厚さは単に以下の層の数によって平均化され、層は自動的に下から上に1つずつ積み重ねられます。
図 10. - プロパティTYPE11、TYPE17、TYPE51および/STACKについては、層(プライ)の位置と厚さはオプションIposに依存します。
- Ipos=0の場合
ユーザーの層(プライ)の板厚 が入力とされ、層(プライ)の位置は自動的に下から上へ1つずつ計算されます。しかし、
の場合、層(プライ)の厚さは次のとおりになるよう、 に調整されます。
層(プライ)の位置も同様に調整されます(図10)。
- Ipos=1の場合
ユーザーの層(プライ)の厚さ および位置 が入力とされ、層の厚さの合計は、 と照合されません。
追加の情報については、FAQの層の板厚と位置の計算をご参照ください。
図 11.
- Ipos=0の場合
- プロパティTYPE17、TYPE51および/STACKについては、プライをIpos=2, 3, 4でオフセットすることも可能です。
- Ipos=2: プライレイアウトの底面は要素の中立面からZ0の位置です。
図 12. - Ipos=3: プライレイアウトの最上面は、要素の中立面と一致します。
図 13. - Ipos=4: プライレイアウトの底面が、要素の中立面と一致します。
図 14.
- Ipos=2: プライレイアウトの底面は要素の中立面からZ0の位置です。
- プロパティ/PROP/TYPE17、/PROP/TYPE51、/STACKについては、プライの厚さは、/DRAPE(/PROP/TYPE19または/PLYで定義されている)内のオプション
で変更できます。更新されたプライの厚さは次のようになります:
層(プライ)に用いられる複合材料
- 層 ( プライ)間の材料
- プロパティTYPE10については、複合材は/PARTで定義された材料を使用。
- TYPE11およびTYPE17については、複合材はオプションmat_IDiで定義された材料を使用。各層(プライ)に異なる材料IDを定義することが可能。しかしながら、それらは同じ材料タイプを使用しなくてはならない。LAW25が使用される場合、いくつかの異なるLAW25カードを別々の層(プライ)に用いることが可能。
- プロパティTYPE51および/STACKについても、複合材はオプションmat_IDiで定義された材料を使用し、異なる材料タイプおよびIDを各プライに用いることが可能。
- プライ間の材料プロパティTYPE17については、プライ間の剥離を(Plyxfem=2で)定義することが可能。これは、剥離が主として複合材破壊に起因する場合に非常に役立ちます。Minterplyで定義されるプライ間の材料。現時点では、プライ剥離の3つのタイプを表すために、LAW1+/FAIL/LAD_DAMを使用できます。
図 15.
この場合、プライ間の剥離破壊をシミュレートするために、追加の変数 が、計算によりプライの各節点に加えられます。図 16.
ソリッド要素
新しい複合材技術では、より厚いパートの製造が可能ですが、シェル要素を使ったパートのモデリングは適さないかもしれません。厚肉シェルモデリングでは、この問題を解決できます。シェル要素と比べた場合、厚肉シェルは他のソリッドパートと直接結合することが可能です。
/PROP/TYPE22 (TSH_COMP) | ||
---|---|---|
層番号 | Isolid=14: Iint=9~200 |
Isolid=15: |
各層 / プライのIP | Inpts=ijk=2~9 | Inpts=j=1~200 |
積分定式化 | ||
+ 、異方性方向 | √ | |
+ スキュー、異方性方向 | √ | |
、プライ方向の変化 | ||
、異方性軸間の角度 | ||
、層 / プライ厚 | √ 右記の係数で定義; |
|
Ipos + 、層 / プライ位置 | √ | |
Ipos=2、3、4、層 / プライのオフセット | ||
mat_ID、各層 / プライの材料 | √ 各層に異なる材料タイプが可能 |
|
一般的に使用される複合材料則 | LAW12、LAW14、LAW25およびユーザー材料 | |
Plyxfem、層 / プライ間の剥離 | ||
Minterply、層 / プライ間の材料 |
- 各層の層番号と積分点
層番号はオプションIintを使用して定義されます。Iintは、層の数が9を超える場合にのみIsolid=14に対して使用されます。
この場合は、Inptsによって定義される板厚方向の積分点はゼロである必要があります。
例えば、s方向の100層という数の場合は、Icstr = 010、Inpts = 202、Iint = 100です
- 層(プライ)内の異方性プロパティ/PROP/TYPE11と同様、参照ベクトル と角度 が、材料方向1の定義に使用されます。参照ベクトル はソリッド要素の中央面に投影し、 度回転させたものが材料方向1となります。
図 17.
- 層の厚さと位置
ソリッド要素の厚さと位置は、要素メッシュにより定義されます。
- 層に用いられる複合材料
- オプションmat_IDiで、各層に異なる材料タイプを使用することが可能
- 複合材料LAW12、LAW14、LAW25をこのプロパティと使用することが可能
- これらの複合材料則を伴う破壊モデル/FAIL/HASHIN、/FAIL/PUCKおよび /FAIL/LAD_DAMAも考慮される
- 対応する/PARTカードで参照される材料は、時間ステップおよびインターフェース剛性の計算のみに使用される
- LAW25については、(ソリッドおよび厚肉シェルに関しては)そのような場合、材料が横方向(材料方向2および3)に弾性であり、E33値を指定する必要があるとみなされます。