リスタートの要件
現時点ではOptiStructは、非線形解析および最適化のリスタート機能をサポートしています。以降のセクションでは、リスタートを実装するための手順に関する具体的な情報を提供します。
非線形解析のリスタート
- 従来の非線形リスタート
- 拡張非線形リスタート(RESTARTWのRMDXオプション)
- 停電などが原因で初期ランが中断された最後のポイントからリスタートする。
例:
サブケース2のソリューション中に停電でRESTARTWを含む3サブケースモデルが中断した場合、13番目のインクリメントの後に、以下のようにモデルに追加してリスタートさせることができます。RESTARTR = originaljob_sub2_inc0013
これにより、中断点(13番目のインクリメントの終了点)からモデルがリスタートされ、13番目のインクリメントからのサブケース2の荷重履歴が継続されます。 - 正常な非線形解析の最後からリスタートし、続けて新しい非線形サブケースを付加する。
例:
RESTARTWを含む2サブケースモデルが正常に終了したが、ここで、荷重経路を続けるために新しいサブケース3と4を追加したい場合。新しいサブケース3と4は、サブケース継続の同じチェーン内にあります。
サブケース2の最終インクリメントが21番目のインクリメントである場合は、下記を使用します:RESTARTR = originaljob_sub2_inc0021
これにより、サブケース2の終了からモデルがリスタートされ、新しいサブケース3と新しいサブケース4が実行されます。例:
RESTARTWを含む2サブケースモデルが正常に終了したが、ここで、荷重経路を続けるために新しいサブケース3と4を追加したい場合。新しいサブケース3と4は、サブケース継続の別々のチェーン内にありますが、どちらもサブケース2に続いています。
サブケース2の最終インクリメントが21番目のインクリメントである場合は、下記を使用します:RESTARTR = originaljob_sub2_inc0021
これにより、サブケース2の終了からモデルがリスタートされ、新しいサブケース3と新しいサブケース4が実行されます。 - 非線形解析のあるポイントからリスタートし、そのポイントでその非線形解析を中断して、続きに新しい非線形サブケースを付加する。(これは、RESTARTRバルクデータエントリのTERMIオプションを使用して行うことができます)。
例:
サブケース2の13番目のインクリメントの後に、RESTARTWを含む3サブケースモデルが中断された場合。実行をリスタートして、サブケース2の残りの荷重履歴とそれに続くサブケース3をリスタートポイントから破棄したい場合は、TERMIオプションを使用します。
サブケース2がインクリメント13で終了した場合は、以下を使用します:RESTARTR = TERMI,originaljob_sub2_inc0013
これにより、サブケース2のリスタートポイントから残りの荷重履歴が破棄され、修正された荷重経路のリスタートポイントに修正されたサブケース3と新しいサブケース4を付加できるようになります。
TERMIが指定されると、OptiStructはリスタートポイント(元の実行)から残りの荷重履歴を破棄し、リスタート実行中のリスタートポイントから継続して新しい荷重履歴を付加します。3サブケースの例では、負荷履歴(合計時間)を次のように想定しています:
1つ目のサブケース → [0~1秒]、2つ目のサブケース → [1~2秒]、および3つ目のサブケース → [2~3秒]、修正された3つ目のサブケース → [1.3~2.3秒]、および新しい4つ目のサブケース → [2.3~3.3秒]。
2つ目のサブケースの1.3秒後にTERMIで実行が終了した場合、サブケース2と3の[1.3~3秒]の残りの荷重履歴は破棄されます。これで、修正されたサブケース3と新しいサブケース4が、修正された荷重経路のリスタートポイント(サブケース2の1.3秒)に付加されます。
- 正常な非線形解析のあるポイントからリスタートし、新しい線形STATSUB(BUCKLING/PRELOAD/BRAKE)サブケースを付加する。線形STATSUB(BUCKLING/PRELOAD/BRAKE)サブケースは、最後の非線形サブケースを参照する必要があります。
例:
RESTARTWを含む3サブケースモデルが正常に終了したが、STATSUB(BUCKLING/PRELOAD/BRAKE)を含む線形サブケースであるサブケース4を新たに追加したい場合。
サブケース3の最終インクリメントが25番目のインクリメントである場合は、下記を使用します:RESTARTR = originaljob_sub3_inc0025
これにより、サブケース3の終了(サブケース4の開始)からモデルがリスタートされ、新しいサブケース4(線形サブケース)が実行されます。注: この場合、線形サブケース4のSTATSUBエントリは、チェーンの最後の非線形サブケース(この例ではサブケース3)を指していなければなりません。
ラン | 入力ファイル | 出力ファイル |
---|---|---|
Run 1 (初期ラン) |
Run1.fem (RESTARTWで) |
Run1.out、Run1.h3d、。。。 Run1.rmd(モデル情報ファイル) Run1_subi_incj.rnl(解析情報ファイル) |
Run 2 (Run 1からリスタート) |
Run2.fem (RESTARTRおよびRESTARTWで) Run1.rmd Run1_subi_incj.rnl |
Run2.out、Run2.h3d、。。。 Run2.rmd(モデル情報ファイル) Run2_subi_incj.rnl(解析情報ファイル) |
Run 3 (Run 2からリスタート) |
Run3.fem (RESTARTRおよびRESTARTWで) Run2.rmd Run2_subi_incj.rnl |
Run3.out、Run3.h3d、。。。 Run3.rmd(モデル情報ファイル) Run3_subi_incj.rnl(解析情報ファイル) |
ラン | 入力ファイル | 出力ファイル |
---|---|---|
Run 1 (初期ラン) |
Run1.fem (RESTARTWで) |
Run1.out、Run1.h3d、。。。 Run1.rmdx(全モデル情報ファイル) Run1_subi_incj.rnl(解析情報ファイル) |
Run 2 (Run 1からリスタート) |
Run2.fem (RESTARTRおよびRESTARTWで) Run1.rmdx Run1_subi_incj.rnl |
Run2.out、Run2.h3d、。。。 Run2.rmdx(モデル情報ファイル) Run2_subi_incj.rnl(解析情報ファイル) |
Run 3 (Run 2からリスタート) |
Run3.fem (RESTARTRおよびRESTARTWで) Run2.rmdx Run2_subi_incj.rnl |
Run3.out、Run3.h3d、。。。 Run3.rmdx(モデル情報ファイル) Run3_subi_incj.rnl(解析情報ファイル) |
- 入力デック内で定義されたRESTARTWコマンドを含む当初のジョブでは、OptiStructは1つのリスタートモデル情報ファイル(*.rmdまたは*.rmdx)と1つまたは複数7のリスタート解析情報ファイル(*.rnl)を非線形解析増分について書き出します。
- 入力デック内でRESTARTRコマンドが定義されたリスタートジョブでは、OptiStructはリスタートモデル情報ファイル(*.rmdまたは*.rmdx)とリスタート解析情報ファイル(*.rnl)を読み出し、リスタートに必要な情報を取得します。
- 従来のリスタート
- 当初の実行とリスタート実行の入力デックは、RESTARTRコマンドとRESTARTWコマンドを除いて同じにする必要があります。その他のユースケースでは、リスタートランの入力デックに、解析済みのすべての完全 / 部分非線形サブケース、および前回のランの入力デック内のすべてのバルクデータエントリを含める必要があり、継承された非線形サブケースおよびバルクカードの定義は変更できません。新しい非線形サブケースまたは線形STATSUB(BUCKLING/PRELOAD/BRAKE)サブケースを含めたり、次のような新しいバルクデータエントリを含めることもできます。
- 拡張リスタート
- リスタート実行の入力デックには、RESTARTRエントリのみを含める必要があります。これは、残りのモデルは.rmdxファイルに存在するためです。他のユースケースでは、リスタート実行の入力デックには、RESTARTRエントリと一緒に、新しい非線形サブケースまたは線形STATSUB(BUCKLING/PRELOAD/BRAKE)サブケースを含める必要があります。以下に示す新しいバルクデータエントリが含まれる場合もあります。
- SPCADD、SPC、SPC1
- LOADADD, FORCE, MOMENT
- DLOAD、TLOAD1、TLOAD2、RLOAD1、RLOAD2、DAREA
- NLPARM、NLADAPT、NLMON、NLOUT、TSTEPNL、TSTEP、SOLVTYP
- CNTSTB、MODCHG
- EIGRL、EIGRA、EIGRC
- FREQ、FREQ2
- TABLED1、TABLED2、TABLED3、TABLED4
- TEMP, TEMPD
最適化のリスタート
OptiStructの最適化をリスタートするには、コマンド行オプション-restart
を使用するか(実行時のオプション)、入力ファイルに入出力オプションエントリRESTARTを追加するか、またはHyperMeshのOptiStructパネルを使用します。
最適化をリスタートするには、前回の最適化で実行された最後の繰り返し計算についての情報が必要になります。この情報は、.shファイルに保存されています。
.femファイルに記述されたDOPTPRMバルクデータエントリのDESMAXエントリは、追加で実行する繰り返し計算の最大回数を指定します。最適化した構造に対して解析を実行するには、DESMAXを0に設定してリスタートします。DESMAXを定義しない場合は、DESMAXのデフォルト値が使用されます(DESMAXのデフォルトの反復計算数は30です。ただしトポロジーの製造性制約条件を使用する場合は80です)。
- 設計変数または設計要素の数は変更できません。
- 前回の実行時に最小部材寸法制御を使用した場合は、それを削除してリスタートすることはできません。
- 前回の実行時にチェッカーボード制御を無効にしていた場合は、それを有効にしてリスタートすることはできません。しかし、前回の実行時にチェッカーボード制御を有効にしていた場合は、無効にしてリスタートすることができます。
- 前回の実行時とは異なる製造制約条件を設定してリスタートすることはできません。
リスタート機能の目的は、収束しなかった最適化や、停電・マシンクラッシュなどが原因で完了前に中止された最適化を再実行することです。
最適化リスタートは、レベルセットトポロジー最適化でもサポートされます。
リスタートランで生成される出力ファイルには、_rst#と拡張子が付加されます。#は3桁の番号で、何度目の反復計算からリスタートしたかを示します。たとえば、filename_rst030.outというファイルは、filename.femを30回目の繰り返し計算からリスタートして作成された.outファイルであることを示します。
リスタートの反復計算回数として割り当てられる番号は、.shファイル内の反復計算回数(前回実行時の最後の反復計算)から開始されます。
新規の .dens、.disp、および.strsファイルを古いファイルに手動で追加し、結合したファイルをポスト処理することもできます。
トポロジー最適化のための高度なリスタート
以前の最適化実行から、変更されたモデルデータ(設計領域内のメッシュの改良、設計空間の変更、製造性制約条件の変更など)を使用して、トポロジー最適化をリスタートする必要が生じる場合があります。変更されたメッシュまたは構成を使用してトポロジー最適化をリスタートするには、高度なリスタートオプションを使用します。
- DOPTPRM,TOPRST,ADVNORオプションでは、元の実行からペナルティが持ち越されて、変更されたメッシュや構成でリスタートを実行することができます。
- DOPTPRM,TOPRST,ADVRESオプションでは、ペナルティをリセットして、変更されたメッシュや構成でリスタートを実行することができます。