PSHELL
バルクデータエントリ シェル要素の膜、曲げ、横せん断、および膜-曲げ連成を定義します。
フォーマット - Implicit
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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PSHELL | PID | MID1 | T | MID2 | 12I/T3 | MID3 | TS/T | NSM | |
Z1 | Z2 | MID4 | T0 | ZOFFS |
フォーマット - Explicit
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PSHELL | PID | MID1 | T | MID2 | 12I/T3 | MID3 | TS/T | NSM | |
Z1 | Z2 | MID4 | T0 | ZOFFS | |||||
EXPLICIT | ISOPE | HGID | NIP |
例 - Implicit
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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PSHELL | 203 | 204 | 1.90 | 205 | 1.2 | 206 | 0.8 | 6.32 | |
+.95 | -.95 | 0.1 |
例 - Explicit
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
PSHELL | 203 | 204 | 1.90 | 205 | 1.2 | 206 | 0.8 | 6.32 | |
EXPLICIT | 3 | 100 | 5 |
定義
フィールド | 内容 | SI単位の例 |
---|---|---|
PID | 固有のシェル要素プロパティ識別。
デフォルトなし(整数 > 0、または<文字列>) |
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MID1 | 膜の材料識別。 2
デフォルトなし(整数 > 0、または<文字列>) |
|
T | 膜厚のデフォルト値(実数 > 0.0).T0がトポロジー最適化用に定義されている場合、Tは全体の厚みになります。 | |
MID2 | 曲げの材料識別。 2
(整数 > -1、空白、または<文字列>) |
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12I/T3 | 曲げ剛性パラメータ。 16 デフォルト = 1.0(実数 > 0.0または空白) |
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MID3 | 横せん断の材料識別。 2
(整数 > 0、<文字列>、または空白。MID2 > 0でない場合は空白にする必要があります) |
|
TS/T | 横せん断厚を膜厚で割った値。 デフォルト = .833333(実数 > 0.0または空白) |
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NSM | 単位面積あたりの非構造質量。 (実数) |
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Z1, Z2 | 応力計算用の板厚方向距離。正の方向は、右手系の法則と、結合エントリ上にリストされている節点の順番によって決定されます。 (実数または空白。デフォルトについては、7をご参照ください) |
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MID4 | 膜-曲げ連成の材料識別。 2
(整数 > 0、<文字列>、または空白。MID1とMID2が0より大きくない場合は空白にする必要があります。MID1およびMID2と異なる値であることが必要です)。 10 11 |
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T0 | トポロジーおよびフリー寸法最適化における要素のベース板厚。MAT1の場合のみ、T0 > 0.0が可能です。 (MAT1の場合、実数 ≥ 0.0または空白。MAT2、MAT8の場合、実数 = 0.0または空白) |
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ZOFFS | 要素節点によって定義された平面からシェル基準面までのオフセット。 実数または文字入力 (Top/Bottom). 14 |
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EXPLICIT | 陽解法解析のパラメータが次に続くことを示すフラグ。 | |
ISOPE | 陽解法解析の要素定式化フラグ。 17 18 19
デフォルト = 陽解法解析の4節点のCQUAD4要素ではBWC。 |
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HGID | アワグラス制御の識別番号(HOURGLS)のエントリ。 20 21 デフォルト = 空白(整数 > 0、または空白) |
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NIP | 厚み方向のガウス点数。 MID2=空白、またはNIP=1の場合、膜定式が使用されます。 23 デフォルト = 3 (1 ≤ 整数 ≤ 10) |
コメント
- 構造質量は、膜厚と膜材料特性を使用して密度から計算されます。
- 2次元要素は、薄板または厚板の挙動のモデル化に使用します。薄板の挙動は、曲げにおける横せん断変形が無視し得る状況(MID3が空白)に適用できます。一方、厚板の挙動は、横せん断が明らかにモデルの挙動に影響を与えるような応用例で必要とされます。OptiStructシェル要素は、面内または膜作用、平面ひずみ、および曲げ作用(横せん断特性および膜-曲げ連成作用を含む)を包含する能力を有します。OptiStructでは、曲げを許容するシェルをモデル化するには、デフォルトでReissner-Mindlinシェル理論が使用されます。 MID1を空白にすることはできません。
膜シェル(平面応力) MID2が空白の場合 膜シェル定式化。平面応力における純粋な膜 – 曲げ、結合、または横せん断剛性なし。純粋な膜シェルは、面内回転自由度なしの標準の2D要素定式化を使用します。MID3とMID4も空白にする必要があります。 16 膜シェル(平面ひずみ) MID2 = -1の場合 膜シェル定式化。平面ひずみにおける純粋な膜。面内剛性のみ。曲げまたは横せん断剛性なし。純粋な膜シェルは、面内回転自由度なしの標準の2D要素定式化を使用します。 13 14 16 注: この方法による平面ひずみ定義は、線形静解析でのみサポートします。PPLANEによる平面ひずみ定義は、より一般的であり、線形および非線形(小変位と大変位)静的解析でサポートされています。薄板定式化 MID3が空白の場合 薄板定式化。横せん断変形が考慮されません(これは、横せん断剛性に非常に高いペナルティを与えて、横せん断変形を止めることで実現されます)。 厚板定式化 MID3が入力されます。 厚板定式化。横せん断変形が考慮されます。 膜シェルは、面外荷重が予期されない状況で適用可能です。薄板定式化は一般に、T/LまたはT/Wが1/20を下回るモデルで使用できます。一方、厚板定式化は、通常は最大1/10まで有効です(境界層を除く)。
ここで、- T
- シェル厚み
- L
- シェルのスパン
- W
- 変形形状の波長
塑性は、小変位および大変位非線形静解析用の膜要素(1次・2次)でサポートされています。MATS1エントリで利用可能な硬化則のうち、等方性、動特性、および混合硬化タイプは、膜要素でサポートされています。
- 継続は必要ありません。
- このエントリは、CTRIA3、CQUAD4、CTRIA6、およびCQUAD8エントリとの関連で使用されます。
- PSHELLエントリは、MAT1、MAT2、MAT4、MAT5、およびMAT8材料特性エントリを参照できます。
- Z1のデフォルトは-T/2で、Z2のデフォルトは+T/2です。Tはこのエントリ上のTによって定義されるローカルプレートの板厚です。フリー寸法最適化では、Z1とZ2の定義が無視され、各要素に対してデフォルトの–T/2と+T/2が使用されます。
- MID3がMAT2材料を参照する場合、MAT2データ上のG33は空白でなくてはなりません。
- MID3がMAT8材料を参照する場合、G1ZとG2Zは空白以外でなくてはなりません。
- MID4を使用すれば、オフセットを伴うシェル(シェル要素の中心線が節点の平面からオフセットされる)、または、シェルの中立面に対して非対称な材料特性を伴うシェルを表すことができます。ただし、可能な限り、要素オフセットZOFFSまたは複合材プロパティPCOMPを使用してこのようなシェルを表すことをお勧めします。これは、MID4がシェル構造に関する十分な情報を提供しないため、すべての対応する結果を正確に計算できないためです。具体的には、次のとおりです:
- MID4の存在下で計算されたシェル応力の多くは、実際のシェルオフセットまたは不均一な材料構造を反映していないため、不正確です。
- 幾何剛性の計算においてMID4の影響は考慮されません。したがって、座屈解析ではMID4を空白のままにすることをお勧めします。
- MID4が、材料IDが400,000,000を超えるMAT2カードを指している場合、熱膜-曲げ係数のA1、A2およびA12の解釈は変更され、[alpha]ではなく、[G]*[alpha]を表します。
ここで、[G]はG11、G22、…、G33で構成されるマトリックスです。これは、PCOMPカードで内部的に生成された個別の項との一貫性を保つためです。
- シェル解析では、MID2またはMID3として参照される材料に対して指定した熱膨張係数は無視され、MID1(膜)とMID4(連成)として参照される材料に関する熱膨張項のみが考慮されます。また、シェルプロパティの参照温度(TREF)は、MID1として参照される材料から取得され、他のMIDに対するTREFは無視されます。
- 面ひずみ(MID2=-1)MID1はMAT1エントリを参照する必要があります。
- 面ひずみの計算において、面内荷重は荷重を厚みで割った値を持つライン荷重と解釈されます。したがって、厚みが“1.0”の場合、ライン荷重の値と荷重の値は同じです。ライン荷重を荷重間の長さで割った値と圧力の値が同じ場合、複数のライン荷重によって圧力を近似することができます。
- シェルの基準面は、ZOFFSを使用して、要素節点によって定義された平面からオフセットできます。この場合、他のすべての情報(応力を計算するための材料マトリックスや繊維の場所など)は、オフセット基準面を基準にして相対的に指定します。シェル要素の荷重などのシェル結果は、オフセット基準面に出力されます。ZOFFSはあらゆる種類の解析と最適化で使用できます。ZOFFSは2つの異なるフォーマットで入力できます:
- 実数:
このフォーマットでは、ZOFFSに正または負の値を指定できます。ZOFFSの正の値は、各シェル要素の基準面がその要素座標系の正のz軸に沿ってZOFFSの距離だけオフセットされることを意味します。
- サーフェス:
このフォーマットでは、オフセット値の指定に“Top”または“Bottom”オプションのどちらかを選択できます。
Top:
シェル要素の上面と要素節点により定義された平面は同一平面上にあります。
これは要素に参照されるPSHELLプロパティエントリに“真に”板厚の半分に等しいZOFFS値を与えるのに有効です。(ZOFFS値の符号は、実数のセクションで定義されたように、要素座標系の正のz軸に対するオフセット方向に依存します)。
図 1. ZOFFSでのTopオプションBottom:
シェル要素の下面と要素節点により定義された平面は同一平面上にあります。
これは要素に参照されるPSHELLプロパティエントリに“真に”板厚の半分に等しいZOFFS値を与えるのに有効です。(ZOFFS値の符号は、実数のセクションで定義されたように、要素座標系の正のz軸に対するオフセット方向に依存します)。
図 2. ZOFFSでのBottomオプションZOFFSが使用されている場合は、MID1とMID2の両方を指定する必要があります。指定しない場合は、特異マトリックスが生成されます。
また、オフセットが幾何剛性マトリックスに正しく適用されていれば、線形座屈解析にも使用できますが、結果の解釈には注意を要します。オフセットなしの標準的な単純構造は、臨界荷重で“突然”分岐したり、不安定になったりします(図 3(a)を参照)。一方、オフセットありの場合はゆるやかに安定性が失われるため、漸近的に制限荷重に到達します(下の図 3(b)を参照)。
図 3.したがって、オフセットを伴う構造は、制限荷重に到達する前に、過度な変形をする可能性があります。注: 上の図は線形座屈に当てはまります。完全非線形制限荷重シミュレーションでは、他の不安定性ポイントが荷重のパスに存在することもあります。
- 実数:
- 純粋な膜要素(平面応力および平面ひずみの構成内)では、曲げはサポートされていません。そのため、シェルに垂直の方向がサポートされていない場合は、大きな変形の影響を受けやすくなります。面外荷重がない理想的な平らな構成では、そのような大きな変形は、追加サポートなしで防止できる可能性があります。ただし、垂直方向でのサポートを提供することが推奨されます(膜シェルがソリッドサーフェス上で“スキン適用”されている場合、この条件は満たされます)。
- 曲げ剛性パラメータ(12I/T3)は、シェルの慣性の曲げモーメント(I)と均質化されたシェルの慣性の曲げモーメント(T3/12)の比率として定義できます。このパラメータは、シェル要素の曲げ剛性のみに影響を与えます(例として、曲げ荷重と引張荷重に起因する変位結果を以下に示しています)。12I/T3の値が大きくなるほど、曲げ剛性は増大します。このパラメータを使用して、均質でない材料を表現できます(ハニカムやコンクリードなど)。
図 4. - 陽解法解析のCTRIA3三角形要素には、三角形シェル定式化が自動的に適用されます。したがって、陽解法解析では、ISOPEの定義はCTRIA3要素に何の効果も示しません。
- Belytschko-Tsayシェル定式化はきわめて効果的で堅牢ですが、たわんだ要素に対するパフォーマンスは劣っています。Belytschko-Wong-Chiang定式化は、たわんだコンフィギュレーション領域が20~30%の演算コストの上乗せで修正されるという制限を除き、Belytschko-Tsay定式化と同じです。
- Belytschko-TsayシェルとBelytschko-Wong-Chiangシェルは、通常の回転自由度では剛性を備えていないので、その陰解法解析では単一の剛性マトリックスが生成されます。陽解法解析では、拘束されていない面内回転自由度に伴う困難は発生しないことが普通です。その理由は、剛性マトリックスを必要としないことにあります。
- 陽解法解析では、誤ったゼロエネルギーモードを回避するために、4節点の四角形要素にアワグラス制御が必要になります。三角形要素にはアワグラス制御が不要です。
- PSOLIDと同様に、HGIDを指定すると、HOURGLSエントリで定義された、デフォルト以外のアワグラス制御が選択されます。
- 文字列によるラベルを使用すると、他のカードで参照する際などに、プロパティを識別しやすくなります(たとえば、要素のPIDフィールド)。詳細については、Bulk Data Input File内の文字列ラベルベースの入力ファイルをご参照ください。
- 陽解法解析では、MID2が空白の場合、入力に関係なく、NIPが自動的に1にリセットされ、膜定式化が使用されます。MID2が指定され、NIPが1に設定された場合、MID2は無視され(これはMID2が空白の場合と等価です)、膜定式化が使用されます。そのため、陽解法解析では、MID2=空白とNIP=1のどちらかまたはその両方の場合に、膜定式化が使用されます。
- このカードは、HyperMesh内のプロパティとして表現されます。