グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)

グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)は、高い計算能力が要求されるエンジニアリングアプリケーションのパフォーマンスを向上させるために使用可能なシステムです。GPUコンピューティングは、アプリケーションの高い計算能力が要求されるセクションの実行にはGPUを使い、コードのその他の部分はCPUで実行するプロセスを言います。

データ作成方法

GPUはNVIDIA CUDAプログラミングモデルを介し、スパース直接法方程式ソルバーを加速させるために使用できるようになりました。GPUコンピューティングは、計算集約的作業のほとんどをGPUに任せて負荷を軽減し、同時にCPUコアとGPUとの間のコミュニケーションおよびデータ転送をオーバーラップすることでインプリメントされます。

互換性

  1. GPUコンピューティングは以下のような用途で利用できます:
    1. 線形静解析(MUMPS、BCS、PCGソルバーを使用)および最適化。
    2. 非線形静解析および非線形過渡解析(MUMPSまたはPCGソルバーを使用)。
    3. 固有値解析(AMSESまたはLanczos固有値ソルバーを使用)によるノーマルモード解析、および対応するモーダル法による周波数応答解析または過渡応答解析。
    4. 直接法による周波数応答解析(MUMPSソルバーを使用)
    5. モーダル法による周波数応答解析またはフーリエ変換によるモーダル法過渡解析の周波数応答部PARAM,FASTFR,YESが使用されます。
  2. GPUコンピューティングは、LinuxおよびWindowsプラットフォームで使用が可能です。
  3. GPUは、MUMPSソルバーとPCGソルバーの同じ実行において、SMPおよびDDMとともに使用することができます。
  4. 固有値解析 / モーダル周波数 / モーダル過渡応答解析については、OptiStructのGPUは次のいずれかのケースに推奨されます:
    • ブロック構造、たとえば長方体、立方体や円筒などの固有値解析、および / または、
    • 1000モードを上回るような大きなモード数を要求する固有値解析。同様にGPUは、モーダル抽出ステップが多数のモードを要求するモーダル法による周波数応答解析の実行にも使用できます。
  5. NVIDIA Kepler、Maxwell、PascalおよびVoltaアーキテクチャベースのTeslaおよびQuadroグラフィックカードがサポートされます。推奨カードは、以下のサポートセクションの表に記載されています。

GPUをアクティブ化するためのコマンド

OptiStruct GPUをアクティブ化するには、コマンドラインオプション-gpuが使用されます。-gpuid実行オプションは、複数のカードが存在する際、計算のために希望するグラフィックカードをピックするために使用することも可能です。また、PCG反復ソルバーの場合、実行に複数のGPUカードを同時に使用できます。これは、-ngpu実行オプションの使用により行えます。現時点では、PCGソルバーを実行するモデルで、8 GPUカードが並列GPU実行に使用できます。
注: これは現時点ではPCGソルバーでの線形静解析および非線形静解析にのみサポートされており、ハードウェアの制限(メモリなど)のために単一のGPUカードでは実行できない大型モデルを対象としています。オプション-gpuを使ってOptiStruct GPUを起動する前に、グラフィックスカードに互換性のあるドライバーがユーザーによりインストールされる必要があります。
コマンドラインオプション 動作
-gpu GPUコンピューティングをアクティブ化
-ngpu N 実行に使用されるGPUカードの数を指定します。

デフォルト = 1、最大値 = 8

-gpuid N 整数:オプション、GPUカードを選択。

デフォルト = 1

注: 入出力は通常、out-of-coreまたはmin-coreでのOptiStruct実行における総解析時間のかなりのパーセンテージを占めます。これは、GPUコンピューティングを介しても対処または向上され得ません。したがって、システム内のメモリが十分大きい場合、-core in(少なくとも–core out)が推奨されます。

OptiStructは現時点で、(-ngpu#を介した)1つの特定のソリューションで最大8個までのグラフィックスカードをサポートします。OptiStruct GPUのライセンス情報については、Altair HyperWorks2025 Solvers Unit Drawの項をご参照ください。

推奨されるGPUコンピューティングプロセッサのリスト

シミュレーションに十分な精度を得るには、OptiStructで倍精度(fp64)演算が必要です。エンジニアリングソリューションとハイパフォーマンスコンピューティングに特化した、より高いピークfp64性能を持つNVIDIAグラフィックカードは、OptiStruct GPU加速に適しています。下に示す一覧は、高性能GPUコンピューティングのためにAltair Mechanical Solverアプリケーション群との使用に推奨されるグラフィックボードをリストしています。
メーカーとモデル グラフィックスカード ドライバのバージョン

(これ以降)

NVIDIA

(Tesla)

P100

V100

A100

Linux (64-bit):440.33

Windows (64-bit)441.22

NVIDIA

(Quadro)

GP100

GV100

Linux (64-bit):440.33

Windows (64-bit)441.22

注: 最新のベンダー / メーカーのドライバを使用することが必要です。また、これらのカードの全てのドライバサポートは、グラフィックボードの適切なメーカーに依るものです。