応力勾配効果は、FKMガイドライン法または臨界距離法のいずれかの方法で考慮することができます。
応力勾配効果は、シェル要素およびソリッド要素の両方でサポートされています。これは、ソリッド要素の場合、節点評価でのみ使用でき、シェル要素の場合、要素評価でのみ使用できます。
応力勾配法は、現在、時系列荷重を伴う単一軸および多軸SN、ENに対応しています。Dang Van FOS、溶接、振動および過渡疲労解析ではサポートされていません。
FKMガイドライン法
FKMガイドライン法では、FKMガイドラインのルールを用いて計算した係数で疲労強度を増加させることで応力勾配効果が考慮されます。FKMガイドライン法のOptiStruct実装では、各時間ステップにおける応力テンソルの6成分をFKMガイドラインで規定された係数で低減しています。
FKMガイドライン法を使用して応力勾配効果を有効にするには、SN/eNダイアログでStress GradientをFKM Guidelineに設定する必要があります。応力勾配の計算には、等価応力σeq法を指定する必要があります。
応力勾配効果を考慮してサーフェスの応力を低減するためには、以下の手順を踏む必要があります。
- 応力テンソル
の6成分の応力勾配を、応力履歴の線形結合後の各時間ステップで計算します。z方向は外向きの面法線です。ソリッド要素の場合、サーフェスの応力とサーフェスから1mm下の応力との有限差分で勾配を計算します。サーフェスから1mm下の応力は、対象とする要素の節点応力から補間された応力です。2次ソリッド要素の場合、コーナー部の節点応力のみが補間に使用されます。シェル要素の場合は、両層の応力とその板厚から勾配が計算されます。
- Step 1で得られた応力勾配を用いて、各時間ステップでサーフェス法線方向の等価応力勾配
が解析的に計算されます。等価応力は、フォンミーゼス応力または絶対最大主応力のいずれかです。
- 関連する応力勾配
は、以下の正規化を用いて計算されます。
- 補正係数
を計算します。補正係数の計算をご参照ください。
- 補正係数
をサーフェス応力テンソルに適用し、サーフェス応力を低減します。非線形解析でEN疲労解析を行う場合、対応するひずみテンソルに同じ
を適用することで、低減されたひずみテンソルを得ることができます。
補正係数の計算
補正係数の計算は、FKMに記されている
と
の間の関係に基づいています。
FKMガイドラインによると、応力補正係数
は次のように計算されます:
-
-
-
表 1. 値の例 -- 定数
および
定数 |
ステンレススチール |
その他のスチール |
GS |
GGG |
GT |
GG |
展伸アルミニウム合金 |
鋳造アルミニウム合金 |
|
0.40 |
0.50 |
0.25 |
0.05 |
-0.05 |
-0.05 |
0.05 |
-0.05 |
|
2400 |
2700 |
2000 |
3200 |
3200 |
3200 |
850 |
3200 |
ここで、
- GS
- 鋳鋼と熱処理可能な一般用鋳鋼
- GGG
- ノジュラー鋳鉄
- GT
- 可鍛鋳鉄
- GG
- ラメラグラファイト鋳鉄(グレー鋳鉄)
はMPaでUTS、
の寸法はmmです。OptiStructは、Materialで定義された応力単位、およびSN/eNダイアログで定義された応力単位と長さ単位により、
と
の単位系を管理します。
と
の値は、My
MaterialのFKM Stress Gradientタブの下のMaterialにユーザーが入力した値です。応力勾配はmmの長さ寸法で計算しなければならないため、OptiStructがサーフェスから1mm下の点を正しく見つけることができるように長さの単位を定義します。
が負である場合、
は1.0に設定されます。
が100 mm-1より大きい場合、
は1.0に設定され、警告メッセージが示されます。
ユーザー定義の関係
と
の間のユーザー定義の関係は、My MaterialsのTABLE((xi,yi)のペア = (
,
))を介して指定することができます。
がxiの範囲外にある場合、
は外挿されます。つまり、
は、
が負である際に
が負または100mm-1以上であるときにどのように扱われるかによって、1.0よりも低くなることがあり得ます。ユーザー定義の関係は、FKMガイドラインのものよりも優先されます。