エネルギー散逸に基づいた損傷進展指数では、破壊靱性とも呼ばれる臨界総エネルギー(
)が計算に使用されるキー値です。その計算と使用法は、曲線のタイプ(LIN/EXP)とモード混合法(MMXFM = 空白、1、2)に依存します。
は、破壊が発生する際のエネルギーを表します。
DMGEVOエントリのW1、W2、W3の各フィールドによって、3つの各破壊モードにおける臨界エネルギーが定義されます。
以下の呼称は、破壊モードとユーザー定義のパラメータの特定に役立ちます。
- 法線破壊モードI:
- W1 =
(べき乗法則) =
(Benzeggagh-Kenane(BK)形式)は、法線方向に破壊が発生する際の臨界エネルギーを定義します。
-
(べき乗法則) =
(BK形式)は、法線方向の現在の解析ステップまでのエネルギー(引張力-開口曲線の下の面積)を定義します。
- せん断破壊モードII:
- W2 =
(べき乗法則)は、モードIIで破壊が発生する際の臨界エネルギーを定義します。
- W2 =
(BK形式)は、合せん断方向に破壊が発生する際の臨界エネルギーです。
-
(べき乗法則)は、モードIIに対応する現在の解析ステップまでのエネルギー(引張力-開口曲線の下の面積)を定義します。
-
(BK形式)は、せん断内の現在の解析ステップまでのエネルギー(引張力-開口曲線の下の面積)を定義します(これは、BK形式の組み合わされた合せん断として解釈されます)。
- せん断破壊モードIII:
- W3 =
(べき乗法則)は、モードIIIで破壊が発生する際の臨界エネルギーを定義します。
-
は、モードIIIに対応する現在の解析ステップまでのエネルギー(曲線の下の面積)を定義します。
注: BK形式では、モードIIとモードIIIの両方が組み合わされて、1つの合せん断と見なされます。
W3はBK形式には適用できません。つまり、
は、BK形式の合せん断内のエネルギーと見なされ(これは、べき乗法則の面内せん断内の個別の
エネルギーおよび面外横せん断内の
エネルギーとは異なります)、
はBK形式の法線方向のエネルギーで、べき乗法則の法線方向のエネルギーである
と似ています。
は、現在の解析ステップまでの総エネルギー(曲線の下の面積)です。
SHAPE = LINの場合:
損傷拡大時に引張力
が直線的に減少する場合は、損傷進展指数は以下によって定式化されます:
ここで、
-
- 履歴内の最大開口(
)。粘着域が載荷されるだけの場合は、
は現在の
と等しくなります。この値は、OptiStructによって計算され、各ステップで更新されます。粘着域が除荷もされる場合は、除荷領域内で、
は履歴中で最大の
と等しくなります(この値は、除荷開始前の
値である可能性があるため)。
-
- 臨界開口(損傷が開始されたとき、すなわち亀裂発生基準が満たされたときの開口
)。
-
- 解析でゼロの引張力が発生する開口。
- 臨界エネルギー(
)によって次のように推定されます:
-
- 亀裂発生基準が満たされたときの有効引張力。
臨界エネルギー
は、モード混合形式(
DMGEVOエントリの
MMXFMフィールド)に依存します。
- MMXFMフィールドが空白の場合:
- MMXFMフィールドが1に設定されている場合(べき乗法則):
は次の式によって得られます:
ここで、
、
、および
は、DMGEVOエントリのW1、W2、およびW3フィールドです。
の値は次の式によって得られます:
ここで、
は、DMGEVOエントリのALPHAフィールドです。
- MMXFMフィールドが2に設定されている場合(BK形式):
の値は、次の式に基づいています:
ここで、
-
- DMGEVOエントリのALPHAフィールド。
-
および
- DMGEVOエントリのW1およびW2フィールド。
は、現在の解析ステップまでの総エネルギー(曲線の下の面積)です。
SHAPE=EXPの場合:
損傷拡大時に引張力
が指数関数的に減少する場合は、損傷進展指数は以下によって定式化されます:
ここで、
-
- 複合引張力。
-
- 粘着によって吸収される弾性エネルギー。これは、指数曲線の直線部分(損傷開始前)の下の面積です。
-
- 臨界開口(損傷が開始されたとき、すなわち亀裂発生基準が満たされたときの開口
)。
-
- 最終開口。
-
- 現在の開口パターン下で粘着によって消散できる総エネルギー(
、
、および
の組み合わせ)。臨界エネルギー
は、OptiStructによって自動的に計算され、モード混合形式(DMGEVOエントリのMMXFMフィールド)と、各モード(W1、W2、およびW3)で消散できるエネルギーに依存します。
- MMXFMフィールドが空白の場合:
- MMXFMフィールドが1に設定されている場合(べき乗法則):
は次の式によって得られます:
ここで、
-
、
、および
- DMGEVOエントリのW1、W2、およびW3フィールド。
-
、
、および
- 現在のステップまでの引張力-開口曲線の下のエネルギー。これらは、曲線のタイプ(LIN/EXP)に依存します。
- したがって、
の導出も曲線のタイプに依存します。
ただし、デフォルトで、指数曲線では、
の同じ値が線形曲線に使用されます。
- MMXFMフィールドが2に設定されている場合(BK形式):
の値は:
ここで、
-
- DMGEVOエントリのALPHAフィールド。
-
および
- DMGEVOエントリのW1およびW2フィールド。
は、現在の解析ステップまでの総エネルギー(曲線の下の面積)です。
実際の引張力の計算
実際の引張力は、前のセクションで説明した損傷進展指数の計算に基づいて、次のように計算されます。
DMGEVOがMCOHEDで参照されている場合、粘着要素内の引張力は、損傷進展指数
に基づいて計算されます。
ここで、
-
および
- モード
に対応する弾性率と開口。
-
- PCOHEエントリで定義される板厚。
この実際の引張力は、後で解析に使用されます。
粘着要素の破壊
いずれかの粘着要素内の全積分点の損傷進展指数が、MCOHEDカードのMXDMGフィールドで定義された値に達し、これらの積分点のいずれも圧縮状態にない場合、その粘着要素は破壊され、現在のサブケースおよび継続サブケース内の残りの解析では機能しなくなります。
また、解析中に侵食された要素は、侵食された時点からH3D出力に表示されません。