音響無限要素
有限および半無限領域の音響モデリングは、振動音響問題における放射音や外部騒音などの量の予測に欠かすことができません。無限要素は、これらの領域のモデリングに一般的な方法です。
- 直接法およびモーダル法による周波数応答解析
- 直接法およびモーダル法過渡応答解析(フーリエ変換による)

図 1. 無限領域の音響問題
インプリメンテーション
上の図に示される領域において、構造に囲まれた領域(影付きのエリア)は従来の流体FEメッシュでモデル化され、非近接場は有限領域と無限(境界のない)領域の間の2次元インターフェース上で定義された無限要素でモデル化されています。
- 波数
- 円振動数
- 音速
- 流体要素のサーフェスへの単位法線
- “無限境界”の(構造から十分離れている)サーフェスへの単位法線
- 圧力
- 流体密度
- 方向における構造境界の変位
入力 / 出力
入力
- 流体材料のプロパティ(体積弾性率、音速、流体密度)は、MAT10バルクデータエントリで流体要素について指定できます。
- 極配置(音響脈動の原点)。極は、音響脈動の中心です。これは、PACINFバルクデータエントリで、XP、YP、ZP 座標を介して定義できます。
- 無限領域と半無限領域との間のインターフェースを定義する節点。これは、無限要素として定義されます(現時点では、3節点CACINF3および4節点CACINF4要素がサポートされています)。
- 放射状の補間順序は、PACINFエントリのRIOフィールドを介して指定できます。
モデリングのガイドライン
- 最小1層の流体要素が、対象の構造領域のサーフェス上で定義される必要があります。
- 無限要素(CACINF3およびCACINF4)は、流体要素の一番上のサーフェス上でのみ定義されなくてはなりません。
- 無限要素モデリングは次のように推奨されます:
図 2. 無限要素のモデリング方法. (緑の要素:無限要素、赤矢印は受信機の方向(半無限領域)、青要素: 音響要素)正しくないモデリング方法- 図 2(c)では、無限要素は、受音側方向のいずれかの側(前面)を覆う流体音響要素の外面。
- 無限要素の法線は常に、極から離れた方向を指していなければなりません。
- 音圧は、受音側の節点上で測られます。音圧コンターを視覚化するためには、受信側節点はPLOTEL要素を使って結合されなければなりません。詳細については、出力セクションをご参照ください。
- 音源は通常、荷重により励起される構造で、また、SLOADを有する流体節点でもあり得ます。
モデリングのチェックリスト
- それぞれの荷重周波数と関連付けされた音波の波長毎に少なくとも4つの無限要素がなくてはなりません。すなわち、無限要素の特性サイズhは次のようになります:
(4) 注: この基準が満たされない場合、.outファイルにワーニングが出されます。 - 適切なRIOがPACINFカードで指定される必要があります。ポールから遠方に配置されたマイクロフォン位置が遠いほど、より正確な結果を得るためのRIOの値は大きくなります。ここで、RIOが大きくなるほど、システムマトリックス内の条件が悪化する点に注意が必要です。デフォルト値(5)から開始し、結果が十分になるか収束するまでRIOを増加させることが推奨されます。
- ポールは、音響攪乱のソースです。振動音響問題の場合、ポール位置の選択でまず最初に試すべきポイントは、構造パートの重心となります。より正確なポール位置のためには、パネル(‘n個’など)を用いて構造を取り囲み、ERP出力を要求します。これが得られたら、ポールのX位置は単に、パネルの幾何学的中心のX位置()から得ることができます。
(5) ポールのYおよびZ座標についても、同じ式が有効です。
- モーダル周波数応答を使用するものの、モーダル空間には、構造と音響空洞のメカニクスを適切に捕捉するために十分なモードが含まれなければなりません。EIGRL/EIGRAバルクデータエントリの上限周波数として最初に試すべき適切な値は、最大周波数の2~2.5倍です。モードの数に関し収束を確実にするのもユーザーの責任です。
- モデリングのガイドラインに従い、音響空洞を含む構造全体を包含し、さらにこの音響空洞メッシュ上に無限要素の層を加えることにより、外部音場が正しくシミュレートされます。無限要素の層が存在する音響空洞メッシュのサーフェスは、許容され得る限り不連続性のないスムーズな状態でなければなりません。
- 遠方位置における圧力出力は、マイクロフォン位置におけるGRIDエントリが確実に音響媒体の領域に属するようにすることで、正しく要求されなければなりません(CDエントリ = -1)。
- 流体と構造の間のインターフェースおよび剛体流体インターフェース(音響的な剛性境界における)の生成は検証される必要があります。これは、OptiStruct実行の直後に .interfaceファイル内で出力され、素早くHyperMeshに読み込まれてインターフェースを可視化できます。
- PACINFエントリによって参照されるMAT10カード内の材料特性には、既存の構造モデルと一致する単位を有するエントリがなければなりません。
たとえば、kg-m-s (SI)またはTon-mm-s。
- また、直接法による周波数応答とモーダル法による周波数応答との間の解析結果がほぼ一致することで解析結果を検証することが可能です。
- (構造と音響空洞域、すなわち無限境界要素の層によって囲まれた領域を含む)有限領域の一部形状については、ポールからインターフェースまでの距離が音波の1波長の伝搬を受容できる必要があります(図 3)。これは単に、以下を意味します:
(6)

図 3. ポールから無限要素の層までの距離は音波の1波長を受容できなければならない
出力
現時点では、無限要素を用いた音響領域の節点については、圧力出力のみがサポートされています。圧力出力は、DISPLACEMENT入出力オプションを使用して要求できます。圧力出力は、直接法およびモーダル法による周波数応答解析、およびフーリエ変換を使用した直接法およびモーダル法過渡解析を時間領域で利用できます。
圧力出力は、DISPLACEMENT入出力オプションを使用して要求できます。圧力は、GRIDポイントセットとして指定され得る外部マイクロフォン位置におけるモデルの流体領域に属する節点について要求が可能です。これは、H3DおよびPUNCHファイルフォーマットについてサポートされています。