チュートリアル:重力鋳造
チュートリアルレベル:初級 さまざまなコンポーネントを調整しながら重力鋳造のシミュレーションを実行し、結果に対する影響を確認します。
この演習では、重力鋳造のプロセスと完成パートに対するさまざまなコンポーネントの影響について学習します。
モデルファイルは、インストレーションディレクトリのtutorial_modelsフォルダ内にあります(Program Files\Altair\2025\InspireCast2025\tutorial_models\gravity.x_b)。
ジオメトリのインポート
- Inspire Castを起動します。
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ファイルアイコンのモデルを開くをクリックし、インストレーションディレクトリのチュートリアルモデルファイルを参照するか、そのファイルをモデリングウィンドウにドラッグ&ドロップします。
鋳物パートの指定
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鋳物パートアイコンで鋳物パートの指定をクリックします。
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鋳物パートの候補を左クリックして選択します。
パートは、現在置かれているカーソル位置に基づき自動的に検出され、ハイライトされます。選択したパートは赤色でハイライトされます。
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マクロダイアログで、パートの材料としてSteel、パートの鋳造材料としてAISIF91を選択します。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
重力方向の設定
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鋳物パートツールで重力方向の設定をクリックします。
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マクロダイアログで重力アイコンをクリックして、選択したサーフェスの法線に合わせて重力の方向を調整します。
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パートの底面の1つをクリックします。
重力は自動的に選択されたサーフェスに対して垂直に再調整されます。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
ゲートの追加
- 鋳造タブをクリックします。
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ゲートアイコンでゲートの追加/編集をクリックします。
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モデル上でゲートの配置先とする上面を選択します。
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ゲート流入口の半径を6mmに変更します。
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移動
アイコンをクリックします。
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Z矢印を選択して、流入口をその高さが-8mmになるまでドラッグします。
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Y回転矢印を選択してドラッグし、流入口を20度傾けます。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
中子の追加
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コンポーネントツールをクリックします。
2番目のツールグループで中子ツールをクリックします。
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中子として指定可能なキャビティはグレーで表示されます。中子の候補をクリックして選択すると、自動的に中子の固体が作成されます。
選択したパートは赤色でハイライトされます。
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マクロダイアログで、材料としてSilica-Sandを選択します。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。

鋳型の追加
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コンポーネントツールをクリックします。
2番目のツールグループで鋳型ツールをクリックします。
鋳型が生成され、編集したコンポーネントの境界ボックスが作成されます。
- マクロダイアログで、新しい鋳型の材料としてGreen-Sand、温度として20°Cをそれぞれ選択します。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
プロセスパラメータの定義
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基本セットアップをクリックして、シミュレーションのパラメータを入力します。
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初期速度で1000 mm/sと入力します。
注: これは、鋳型のキャビティに湯を流し込む際の流入口における流速です。
解析の実行
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解析アイコンで解析の実行をクリックします。
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解析の実行ダイアログでステージタブを選択し、要素サイズを手動で入力するか、平均板厚を定義します。サイクルの使用を選択し、プロセスのサイクル数を選択することもできます。
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アドバンストタブを選択し、ゲート、鋳型、ランナー、押し湯などのコンポーネントのメッシュ係数を手動で選択します。
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ステージタブを選択して、実行をクリックします。
注: シミュレーションの計算が終了すると、解析アイコンの上に緑色のフラグが表示されます。
結果の解析
- 緑色のフラグをクリックし、解析エクスプローラを表示します。
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解析エクスプローラで、結果タイプの下の温度をクリックします。
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再生をクリックしてアニメーションを開始します。
湯流れ中の温度の推移が温度の結果からわかりますが、鋳型に流れ込む流体の動作を解析するうえでも温度の結果がきわめて有用です。
ここでは、流動体が上面から底面に落下して乱流が発生する様子を確認できます。
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結果タイプで流入時間をクリックします。
材料がパートのさまざまな領域に到達するまでに要する時間が流入時間からわかりますが、鋳型に流れ込む流動体の動作を解析するうえでも流入時間がきわめて有用です。
ここでは、右側と左側の領域に材料が行き渡るまでの時間差を確認できるので、この差がなくなるように流入口の位置を変更します。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
ゲートの編集
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湯口を選択して削除を押します。
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ゲートアイコンでゲートの追加/編集をクリックします。
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このサーフェスの中心を選択して、形状の底面に流入口を作成します。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
解析の実行
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解析アイコンで解析の実行をクリックします。
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解析の実行ダイアログでステージタブを選択し、要素サイズを手動で入力するか、平均板厚を定義します。サイクルの使用を選択し、プロセスのサイクル数を選択することもできます。
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アドバンストタブを選択し、ゲート、鋳型、ランナー、押し湯などのコンポーネントのメッシュ係数を手動で選択します。
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ステージタブを選択して、実行をクリックします。
注: シミュレーションの計算が終了すると、解析アイコンの上に緑色のフラグが表示されます。
結果の解析
- 緑色のフラグをクリックし、解析エクスプローラを表示します。
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解析エクスプローラで、結果タイプの下の温度をクリックします。
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再生をクリックしてアニメーションを開始します。
これまでより安定して流動体が鋳型に流れ込む様子を確認できます。流体が均一に上昇し、乱流は発生しません。
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結果タイプで鋳型侵食をクリックします。
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最小値を0.50 m/sに設定し、矢印を0.54m/sまで移動します。
鋳型侵食の結果を使用すると、速度が速いために鋳型の劣化が急速に進む可能性のある領域を予測できます。ここでは、流入口の設計に起因して流動体が砂型中子と直接衝突していることがわかります。
この問題を回避するには、流入口の角度を変更します。
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結果タイプで凝固領域をクリックします。
凝固領域の結果を使用すれば、湯流れ中に固体になる領域が発生するかどうかを判断できます。この値が0であれば完全な液体の状態であり、1であれば完全な固体の状態であることを示しています。
ここでは湯流れ中に凝固する領域がないことから、流入口での速度を下げることで、砂型中子と直接衝突する状況を回避できます。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
ゲートの編集
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モデリングウィンドウで、湯口をダブルクリックします。マイクロダイアログで、移動
をクリックします。
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X回転矢印を選択してドラッグし、流入口を20度傾けます。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
解析の実行
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解析アイコンで解析の実行をクリックします。
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解析の実行ダイアログでアドバンストタブを選択し、ゲート、鋳型、ランナー、押し湯などのコンポーネントのメッシュ係数を手動で選択します。
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ステージタブで、実行をクリックします。
注: シミュレーションの計算が終了すると、解析アイコンの上に緑色の旗が表示されます。
注: 実行履歴の結果表示をクリックして結果を選択することもできます。
結果の解析
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段階で湯流れをクリックします。
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結果タイプで温度をクリックします。
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再生をクリックしてアニメーションを開始します。
流入口の流入角度を変更したことと速度を下げたことにより、流動体が砂型中子と直接衝突しなくなっています。
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結果タイプで凝固領域をクリックします。
凝固領域の結果を使用すれば、湯流れ中に固体になる領域が発生するかどうかを判断できます。この値が0であれば完全な液体の状態であり、1であれば完全な固体の状態であることを示しています。
流入口での速度を下げることで流入時間が長くなっても、湯流れ中の凝固は増加していません。
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段階で凝固をクリックします。
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結果タイプで凝固領域をクリックします。
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再生をクリックしてアニメーションを開始します。
凝固領域の結果を使用すれば、パート内部で凝固が発生する様子を把握できます。デフォルト値である0.7は、多くの場合、流動体の流れが停止する値に相当します。凝固した材料(この値が0.7より大きい材料)は透明で表示され、液状の材料(この値が0.7より小さい材料)は色付きで表示されます。他の領域から隔てられた液状領域があると、引け巣が発生する可能性が高くなります。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
湯流れシステムの指定
- ゲートを選択して削除を押します。
- スケッチタブをクリックします。
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円アイコンで中心とポイントによる円をクリックします。
- スケッチ面の作成対象とするサーフェスをクリックします。
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表示されたサーフェスをクリックしてドラッグし、直径18mmの円を作成します。
- 形状タブをクリックします。
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フェイスのプッシュ/プルツールを選択します。
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作成した円を選択して、70mmの長さになるまでドラッグします。
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マイクロダイアログで、新規パートの作成が選択されていることを確認します。
- 適用をクリックします。
円筒の再配置
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ホームリボンで、移動アイコンをクリックします。
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円筒を選択します。
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円筒端面の中心をクリックして、湯口を作成したサーフェスの中心まで円筒をドラッグします。
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Z矢印を選択し、Z軸方向に円筒を60mm移動します。
サーフェスの回転
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参照軸を作成します。
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押し出しアイコンでフェイスの回転をクリックします。
- 回転の対象とする円筒の端面を選択します。
- 回転軸とする参照エッジを選択します。
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サーフェスを90度回転します。
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和が選択されていることを確認してください。
- 適用をクリックします。
サーフェスのプル
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プッシュ/プルアイコンをクリックします。
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円柱のサーフェスを選択します。マイクロダイアログで、新規パートの作成をクリックします。
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新しいシリンダーの長さが 170mmになるまでサーフェスを引っ張ります。
- 適用をクリックします。
流入口の作成
- 鋳造タブをクリックします。
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鋳物パートアイコンで鋳造方案の指定をクリックします。
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設計した形状を選択します。
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ゲートアイコンでゲートサーフェスを指定をクリックします。
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流入口の作成対象とする湯流れシステムの上面を選択します。
押し湯の作成
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コンポーネントアイコンをクリックします。
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押し湯アイコンで押し湯の追加/編集をクリックします。
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ポロシティの問題が発生した領域をクリックします。
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モジュラスを0.8cmに変更します。
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別の押し湯を作成するには、これらのステップを繰り返します。
鋳型の再作成
- モデリングウィンドウで、鋳型コンポーネントを選択します。
- キーボードで、Deleteキーを押します。
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コンポーネントサブリボンで、鋳型 ツールをクリックします。
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マイクロダイアログで、金型の材料としてGreen-Sandを選択し、初期温度を20℃に設定します。
- チェックマークを右クリックして、マウスで移動して終了するか、または右ダブルクリックします。
解析の実行
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基本セットアップアイコンをクリックします。
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初期速度を500 mm/sに変更します。
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解析アイコンで解析の実行をクリックします。
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解析の実行ダイアログでアドバンストタブを選択し、ゲート、鋳型、ランナー、押し湯などのコンポーネントのメッシュ係数を手動で選択します。
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実行をクリックします。
注: シミュレーションの計算が終了すると、解析アイコンの上に緑色の旗が表示されます。
注: 実行履歴の結果表示をクリックして結果を選択することもできます。
温度結果のアニメーションの実行
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段階で湯流れをクリックします。
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結果タイプで温度をクリックします。
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再生をクリックしてアニメーションを開始します。
注: 流入口の位置を変更し、鋳造方案を設計し直したことによって、流動体が鋳型にスムーズに流れ込むようになり、乱流の発生も砂型中子との直接衝突も見られなくなったことが確認できます。
凝固領域結果のアニメーションの実行
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結果タイプで凝固領域をクリックします。
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再生をクリックしてアニメーションを開始します。
注: 湯流れ中は、湯回り不良などの鋳造不具合を防止するために、早い段階で凝固が発生しないようにすることが重要です。この例では、湯流れが6秒間未満で完了し、その間に凝固領域が発生していないので、不具合が回避されていると判断できます。
残存気泡結果の表示


凝固領域結果のアニメーションの実行
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段階で凝固をクリックします。
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結果タイプで凝固領域をクリックします。
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凝固領域の比率を0.7%に設定します。
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再生をクリックしてアニメーションを開始します。
注: 凝固中に押し湯によって材料がパート上面の領域に流し込まれる様子を確認できます。
ポロシティ結果の表示
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ステージで脱型をクリックします。
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結果タイプでポロシティをクリックします。
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凝固領域の比率を100%に設定します。
