結果タイプ

湯流れと凝固解析の結果タイプ。

サイクル結果

この結果は、鋳型が通常の運用状態に達するまでにかかるサイクル(湯流れ、凝固、押し出し)数の決定に役立ちます。
オプション 説明
温度 サイクルプロセスにおける温度の変化が表示されます。鋳型が動作温度に達するまでの各サイクルで、パートが脱型温度に達するまでには、さらに時間がかかります。
凝固領域 サイクル間での凝固時間の変化が表示されます。鋳型が動作温度に達するまでの各サイクルで、パートが凝固するまでには、さらに時間がかかります。
鋳型温度 サイクルプロセスにおける鋳型での温度変化を表示します。鋳型が動作温度に達するまでの各サイクルでは、鋳型はさらに多くの熱を吸収します。

湯流れ結果

オプション 説明
温度 湯流れプロセスにおける温度の変化が表示されます。溶解する材料の2つの先端で必要な温度を決定し、冷間圧接のリスクを調査することができます。
湯流れ先端 鋳型に流入される際の材料の挙動を確認します。これによって湯流れ時間を予測できます。そして、空気の巻き込みや乱流を回避するために、ゲートやオーバーフローの再配置が必要かどうかを決定することができます。
ゲート寄与 材料が各ゲートから鋳型に入る割合を確認できます。その後、最適な結果を得るためにゲートの位置やサイズを変更することができます。
トレーサーID 材料が各湯口から鋳型に流れ込む様子を確認できます。そして、最適な結果を得るために、オーバーフローの再配置、またはゲートの位置、サイズ、形状、タイミングの調整を決定することができます。
注: この結果タイプで有意義な情報を表示するには、 ゲートマイクロダイアログ でフロートレースの計算を有効にする必要があります。
凝固領域 凝固が発生する領域を表示します。これらの多色領域は完全に充填されないため、材料不足となる傾向があります。材料不足を回避するため、結果に基づいて、圧力を上げたり、速度を上げたり、湯流れ時間を削減する必要がある場合もあります。

赤色は、湯流れに関する問題のない、液体材料を表します。

速度 ベクトルを使用した湯流れプロセスを表し、これによって乱流と速度を検出できます。

鋳型への湯流しの際に、速度のほかに速度プロファイルを使用することで、ゲートでの湯流れの挙動を解析し、設計の不備に起因する乱流を回避できます。

残存気泡 最終的に充填する領域を示します。これによって気泡が形成される可能性のある場所を予測できます。そして、引け巣を回避するためにオーバーフローを再配置できます。

鋳造では、砂型の場合よりも気泡が影響します。砂型には砂の浸透性があることから、ポロシティの影響を受けにくいためです。

鋳型侵食 鋳型のデグラデーションが発生しやすくなる、35 m/sを超える速度の領域を特定します。

HPDCでは、湯の速度(30~40m/sを超える速度)および流れる湯と直接接触する面積が増加すると、鋼鋳型の劣化が進みます。鋳型侵食によって、影響を受ける表面の粗さとろうとの親和性が高くなり、鋳型の長期的な耐久性が低下します。

浸食は、通常、ゲートに近い領域で発生します。この原因は、ゲート周辺では鋳型の肉厚が薄いことおよびゲートの前では湯が鋳型の壁面に直接衝突することにあります。鋳型の浸食が発生しやすい領域を解析するうえで最善の方法は、最高速度の結果と速度の結果を組み合わせて検討することです。

圧力 湯流れにおける圧力の変化をパスカルで表示します。

Inspire Castは、相対圧力を示します。この値が負数になる場合は、圧力が大気圧を下回っています。

Inspire Castソルバーは二相性です。つまり、鋳型内部では湯の圧力のほかに空気圧が計算されます。

湯流れ時間 パート内部のさまざまな領域に湯が到達するまでに要する時間を示します。これにより、パートを充填するための最良の方法を決定することができます。

流入時間には、HPDCで1番目の位相に要する時間と2番目の位相に要する時間も表示されます。

湯境 材料の2つのフロントが合流する場所と2つのフロントの温度差を検討します。鋳型のキャビティで合流した材料の2つのフロントが適切に融合しないと、鋳物に不連続性が発生します。このような合流に起因する冷間結合や湯境を予測するうえで、この解析が効果的です。

湯境を解析するには、2つのフロント間に大きな温度差が発生しているかどうかおよび湯境が発生する領域で湯の温度が固相線温度に近いかどうかを把握する必要があります。

凡例にある値は、湯の初期温度からフロントの平均温度を減算した値です。Tinlet – (Tfront1+TFront2)/2

気流 金属の湯流れプロセスにおける鋳型内の空気の動作を表示します。金属がキャビティに充填されると、鋳型内の空気がベントから押し出され、ライン、押し湯、および湯流れシステムが分割されます。
鋳型温度 湯流れプロセスにおける鋳型での温度変化を表示します。

熱機械結果

オプション 説明
温度 凝固プロセスにおける温度の変化を表示します。

湯流れを計算済みの場合は、凝固温度を考慮する初期値として湯流れの最終温度を使用します。それ以外の場合は、一定温度を初期値とします。

最大温度が凝固停止基準を下回ると計算が停止します。凝固停止基準は次の式で求められます。tsolid * 0.7

凝固領域 最後に凝固する領域を特定して引け巣の発生を予測します。引け巣は、隔てられた領域で発生しやすいからです。

凡例をクリックすると、凝固領域の比率が変化します。この値はデフォルトで0.7に設定されています(ほとんどの場合、これは湯の流れが停止する値に相当します)。

アニメーションでは、凝固した材料(0.7より大きい値)は透明となり、液体の材料(0.7より小さい値)は色付きで示されます。

凝固時間 パートのさまざまな領域を凝固させるまでに要する時間を確認します。これにより、最初に凝固する領域を特定し、冷間圧接の可能性のある領域を予測できます。
変位 変位では、通常不均等な冷却による、鋳物パートの折れ、曲げ、ねじれ、湾曲が表示されます。変位コンターでは、パートの反りの様子が示され、これによって冷却速度、冷却水路設計、プロセスデータに対して適切な是正措置を講じることができます。
応力 応力結果には、応力テンソルのマトリックス成分と主応力が表示されます。
フォンミーゼス フォンミーゼス応力結果を使用して、パートのパフォーマンスと耐久性を予測できます。オレンジ色/赤色で示された領域は、ピーク応力を超えています。
鋳型温度 凝固プロセスにおける鋳型での温度変化を表示します。

鋳型温度を使用すれば、さまざまなコンポーネント(パート、中子、スリーブなど)どうしの温度差を判断できます。

この結果から、冷却水路の設計と検証で効果的な情報が得られます。

脱型結果

オプション 説明
温度 脱型プロセスにおける温度の変化を表示します。

脱型温度は凝固過程の最後の温度から始まります。

最大温度が脱型停止基準を下回ると計算が停止します。
注: Inspire Castは停止条件を自動的に計算しますが、環境設定でカスタマイズすることができます。ファイルプリファレンス解析停止温度 (C)を選択し、温度を摂氏で入力します。
凝固領域 最後に凝固する領域を特定して引け巣の発生を予測します。引け巣は、隔てられた領域で発生しやすいからです。

凡例をクリックすると、凝固領域の比率が変化します。この値はデフォルトで0.7に設定されています(ほとんどの場合、これは湯の流れが停止する値に相当します)。

アニメーションでは、凝固した材料(0.7より大きい値)は透明となり、液体の材料(0.7より小さい値)は色付きで示されます。

凝固時間 脱型後、パートのさまざまな領域を凝固させるまでに要する時間を確認します。これにより、最初に凝固する領域を特定し、冷間圧接の可能性のある領域を予測できます。
ミクロポロシティー

冷却段階と同様に、脱型のためのミクロポロシティの結果は無次元数であるNiyama基準に基づきます。この方法では、引け巣形成の閾値となるNiyama値がわかっている必要がありません。このような閾値は一般的に不明で、鋳造材料によって異なります。この無次元数の基準値では、両方の局所的熱条件(元のNiyama基準など)が考慮されるほか、圧力、材料特性、パラメータ特性なども考慮されます。

Niyama 冷却段階と同様に、脱型のためのNiyama判定基準は、通常、鋳造において凝固収縮欠陥の検出に使用されます。これは、局所的な温度勾配をその部分での冷却速度の平方根で除算した値です。温度勾配が低いと、材料は樹間隙を満たす圧力が低くなり、冷却速度が速いと凝固が速くなり、材料が樹間隙を満たす時間が短くなります。値が低いほど収縮の可能性が高くなります。
基準値の範囲は次のとおりです:
((C*s)**0.5/mm) ((F*min)**0.5/in)
鋼鉄 0 - 1 0 – 4.4
鋳鉄 0 - 0.75 0 – 3.3
アルミニウム 0 - 0.30 0 – 1.32
銅ベース 0 - 1.30 0 – 5.72
凝固モジュラス 冷却段階と同様に、脱型のための凝固モジュラスは、押し湯のモジュラスを調整して、適切な配湯方法を設定するために使用されます。この計算は、このモジュラス(サーフェス面積に対する鋳造体積の比率)と凝固時間(Chorinovの法則)に基づきます。
形状モジュラス 冷却段階と同様に、脱型のための形状モジュラスは、押し湯のモジュラスを調整して、適切な配湯方法を設定するために使用されるモジュラスを計算するための代替手段です。この計算は、形状および凝固データに基づきます。これらのデータでデータイメージ処理が使用され、結果がポスト処理されます。
パイプ状引け巣

冷却段階と同様、脱型のためのパイプ収縮結果は、収縮ポロシティ(金属の収縮によって生じる質量欠損)と似ていますが、上面が大気に開放されている場合に発生します。そのため、鋳引けが発生するとそこに空気が流入します。

ポロシティ ソリッド領域に対する空洞の比率が、指定の値以上になる領域を確認します。これは、マクロポロシティ、つまり引け巣です。

凡例をクリックすると、パーセンテージの値が変わります。

全体引け巣体積 この結果は、パイプ状引け巣の結果とポロシティの結果を組み合わせたものであり、マクロポロシティの合計体積です。
変位 変位では、通常不均等な冷却による、鋳物パートの折れ、曲げ、ねじれ、湾曲が表示されます。変位コンターでは、パートの反りの様子が示され、これによって冷却速度、冷却水路設計、プロセスデータに対して適切な是正措置を講じることができます。
応力 応力結果には、応力テンソルのマトリックス成分と主応力が表示されます。
フォンミーゼス フォンミーゼス応力結果を使用して、パートのパフォーマンスと耐久性を予測できます。オレンジ色/赤色で示された領域は、ピーク応力を超えています。

トリミング結果

オプション 説明
変位 変位は、トリミング段階でパートに作用する物理的な力による鋳物パートの折れ、曲げ、ねじれ、湾曲を表示します。
応力 応力結果には、応力テンソルのマトリックス成分と主応力が表示されます。
フォンミーゼス フォンミーゼス応力結果を使用して、パートのパフォーマンスと耐久性を予測できます。オレンジ色/赤色で示された領域は、ピーク応力を超えています。